富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

啓業邨団地

農暦正月十九日。雨。午前中、近くのジムのトレッドミルで走る。アプリで記録見るとトレッドミルも含め走つたのは今年になつて初めて。午後遅く雨のなか家人と608系統の路線バスで九龍湾へ。中環のOld Bailey街の店舗から近くのPMQに仮店舗を構へてゐたオリンピアグレコ埃及珈琲店が九龍湾の工業ビルに移転で今後は通販が主となるが一度くらゐお邪魔してみやうと出かけたのだが土曜の営業は午後3時迄。近くの九龍バス九龍湾車庫へ。

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老朽化も味はひのある巨大な施設。此処の入り口にあるカフェで珈琲とかのカップスリーブ(珈琲の紙コップに被せる「套」であるが日本語は適当な呼び名なく中国語なら差詰め「杯套」か、と思つたら正解)はKMBオリジナルだと家人の話で、そのカフェも土曜午後遅くはすでに閉店。もう一つ近くに真鍮魔法瓶の駱駝牌(キャメルブランド)の旧工場がホテルになつてゐて、そこを訪れる。

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ステンレス製のカップと杯墊(コースターも日本語で「下敷き」はだらしない)購入。駱駝牌は一旦製造中止となつたが今日日のレトロブームで再生産。昔の駱駝牌製品の展示もあり。雨が止んでゐるので九龍湾公園抜けて啓業邨の公共団地へ。6つの巨大な棟に20〜40平米の広さで4,200世帯が居住。推定人口11,700人だとデータにあるが1世帯2.9人は今だから、で昔はもつと過密だつたはず。随分と老朽化した団地に見えるが1981年の完成でアタシの齢に比べたらずつと若い建物なのだが。階下の商場は随分と再開発進み嘗ての啓業街市(公共市場)も何だか高級スーパー風に。

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この団地には広場に昔ながらのキノコ型屋根の熱食中心あり。

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そこの勝利飯店で早めの夕食。鹹菜胡椒猪肚鶏の湯(スープ)がしみじみと身体に滲みる味はひ。

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九龍湾まで戻り606系統のバスで帰宅。また雨が降り出したが濡れずに済む。帰宅してテレ東「アド街ック天国」見る。郷里・水府の特集。2011年にも水戸を特集したさうで結局のところ偕楽園の梅、納豆、弘道館や水戸学「しかない」のだが映画『カメラを止めるな!』で旧・芦山浄水場がロケ地でみとフィルムコミッションによる映画ロケ盛んは確かに「人気度最低」の茨城で注目できるのはこれくらゐか。ベスト20のうちタヴェルナといふハンバーグ屋(18位)やGroovyといふ田舎和風イタリアン(14位)は地方都市の何処にでもある程度なのだらうが、その2軒と七ッ洞公園といふ英国風庭園、この3つだけ知らなかつた。また水戸駅前から上市の大通り、今ではかなりシャッター化してゐるが、かつての電車通りが「水戸黄門通り」と呼ばれてゐるのは、この大通りの中心部で育つたアタシも知らぬこと。水戸といへば、で「けんちんそば」は、これは以前も日剩に綴つたがアタシは恥ずかしいことに、これは何処にでもある、とくに関東から東北など寒い地方では牛蒡や里芋、豚肉や人参など何でも入れた「けんちん汁」で一般的な冬の定番だとずつと思つてゐたが茨城のご当地料理。子どもの頃からよく食べてゐたが茨城でも県北の奥久慈の郷土料理といはれると久慈郡に祖のあるアタシの家では定番だつたのも納得。

ジムで運動のときに須磨帆で音楽聴いてゐる人は多いがアタシは荷風散人の断腸亭日剩の朗読を聴き乍ら。それに続く嶋中とのいやらしいオヤヂ対談は全集の付録で聴いてゐるが荷風先生の昭和20年8月13日の「谷崎君訪問」も断腸亭日剩で何度も読み返した話だがラジオで作家自身の朗読にしては名朗どころか「やっつけ仕事」で淡々と、これはこれで味はひあり。