富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

内田百閒

農暦正月初七。百閒の短編集「青炎抄」なんて読みながら寝たので変な夢を見て寝つきも悪し。曇。朝は摂氏16度と少し肌寒いくらゐ。今日は月曜で今日から世の中は普通モードかと思へば地元の学校など、まだ休み。聞くところでは初九あたりまでは普通に休みだとか。暦を見ると今月は周末と春節連休を覗くと今日が陽暦で11日なのに週日の勤務日はまだ4日目といふほど世の中はのんびりとしてゐる。夕方、上環へ打合せに行くと皇后大道中とヱリントン街のY字路にあるビルの上に“FRITES”といふ布の天幕をビルの階上に見かける。鰂魚涌の太古坊に同名の白耳義酒場あり。仕事片づけ帰りしなに寄つてみると同じ系列。香港には他に湾仔と銅鑼湾にも支店あり。先ずはStella Artoisをぐいっと呑んで、そしてLeffe修道院の悟得に酔ふ夢心地よ……

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Happy Hourで一杯HK$35の酒代は良心的。帰宅して煮うどん啜る。百閒の短編で、いきなり「その現実のやうな幻のやうな世界」に読み手を誘なふ筆致は既知の通りだが改めて読んでゐると、その文章に全くの無駄な装飾がないことに驚く。勿論、その物語の場所がどんなところで主人公はだういふ光景を目の当たりにしてゐるのか、は描くのだが本当にそれが洗練され無駄がない。百閒といふと『阿房列車』や『のらや』などの軽妙な随筆から入るものだが改めて百閒の全てが読みたくなる。だが全集どころか筑摩文庫の内田百閒集成(全24巻)も古書で人気で1冊1千円以上とアマゾンジャパンは高値なので「日本の古本屋」サイトで見るとばら売りで500円くらい。それぞれの古書肆から調達もできるが単巻では24巻目(百鬼園写真帖 )など一冊で数千円……だが茨城は土浦駅前のれんが堂なる書店が全24巻揃ひを18千円で出してゐる、これは狙ひ目か。

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はい、もう「日本の古本屋」で浚つても「売り切れ」です(笑)。