富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

正月初三

正月初三。快晴。昨日ほどは暑くない。だがタオルケット一枚かけて寝てゐても汗をかいた。昨日応急修理だけ済ませた洗面所の水漏れ。一晩でシャワーのコンクリートの土台から溢れるほど水が滲み出てゐる。とにかく洗面所から外へ漏水しないやうに壁と床のタイルの隙間だけ塞いでおかねば。シリコンがないので岡田屋(Aeon)へ買ひに行く。春節にこゝを通ると、つい撮影してしまふ婦人肌着売り場。

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春節おせち料理など大根餅しか食べてないが初三にもなつたので昼食は水戸の砂押の「水戸発 出汁がきいてる蕎麦だっぺ」のカップ麺を啜る。内内田百閒『東京日記』岩波文庫で「白猫」と「長春香」の二編読むうちに微睡んでしまつたら怖い夢を見た。さすが百閒と恐れ入る。寝覚めにと少し外を走る……といつても昨日のほんの軽い山歩きで脹脛の筋肉痛といつたら。鰂魚涌の超人気の粥店は春節で九連休。

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私の知る限り毎年最も長く春節の休暇を愉しんでゐる。いゝこと。夕方からブラタモリ(福井編)などテレビを見る。些か本を読みすぎたので他愛ないテレビも楽しいが、それでも夜になつて孫歌『竹内好という問い』岩波新書を読み始める。

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最近随分と本を読んでゐる。昨日までに他にも或る企画(これはまだ開示できないがこれから楽しみ)の予習で姫宮栄一『香港』(中公新書)再読。昭和39年まで中部日本新聞の香港特派員として香港にあしかけ三年駐在した著者の実に見事な香港のレポート。著者は東亜同文書院で学んだ最後の世代。いま読んでも実に面白いが引用してゐたらキリがないのでやめておく。アタシの手元には岩波新書赤版で小椋廣勝著『香港』もあるが、これは昭和17年に既に日本軍が香港佔領した後に発行された占領地理解本で内容はかなり精緻だが占領地経営用に実務書すぎる。「序」を書いてゐるのは松本重治で、それによると著者は同盟通信記者で昭和15年から香港駐在、途中半年ほどマニラ駐在あつたが大東亜戦争勃発二日前の12月6日まで香港にをり一旦、広州に回避し日本軍の香港侵攻に従軍記者だつたといふのだから、そりゃ「百年にわたる英帝国の東亜侵略拠点たるの地位を脱して大東亜共栄圏の一環として更生する」(松本の序)で、この時節にこれを書くには、この記者は匹敵だつただらう。