富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦十二月廿二日

農暦十二月廿二日。晴。日曜日だが出先仕事あり。また数年来手付かずでゐたある構成原稿も草案をまとめる。晩に自家製餃子頬張る。久が原T君に頂いた深谷の「五家寶」で一服。先日、日本で貰ひ持ち帰つた鬼柚子で柚子湯に浸かる。

f:id:fookpaktsuen:20190128102406j:plain
f:id:fookpaktsuen:20190128102410j:plain
f:id:fookpaktsuen:20190128102414j:plain

同じような菓子で水戸に小ぶりの「吉原殿中」あるが、それよりも美味。それにしても包装紙の
忘れかねたか五家寶の味を ねだる坊やの床の中
……はヤヴァくないか。誰ももうこんなもの見もしないのか。

f:id:fookpaktsuen:20190128102438j:plain

赤青鉛筆を長年愛用。これは三菱鉛筆の定番で香港でも入手可能。鉛筆削りは、もう四半世紀以上、香港の西武Loft!の在庫品処分で入手の、憧れの米国製Bostonの鉛筆削り愛用してゐるが硬筆の黒の鉛筆には良いが赤青の柔らかい鉛筆は削り過ぎで芯が折れ易い。そこで家人が街場の文房具屋で調達したFaber&Castellのを軟筆削りにしていたが(画像の赤色のもの)、先日、新宿の東急ハンズで入手のクツワ?の二枚刃の(黒色のもの)、これは削り具合最高。こんなものでもとてもよく出来てゐる。

江戸東京の明治維新 (岩波新書)

江戸東京の明治維新 (岩波新書)

 

最近かなり本を読むやうにしてゐるが小説の類ひはあまり興味なく、どうしても数時間で読み終はる新書となる。この横山百合子『江戸東京の明治維新』はどうしても政治史になりがちな明治維新を江戸→東京(とうけい)の今の丸の内にあたるエリアの大名屋敷がどう明治政府の関係者に引き継がれたか、商家や流通がどのやうに変化したか、旧幕臣の暮らしの変容……このあたりはまだ表の部分だが、それに加へ吉原の遊女たちのこと、これはこの著作の白眉で一枚の遊女の証文から実に見事な状況の判読をしてゐる、そして非人扱ひの、これは単に差別でなく彼らがどのやうな職種で関東一円にネットワークをもつてゐたか、の考証など実に見事。髪結ひといふ職のことまで。いずれも江戸期には一定の身份とギルド的な編成であつたものがご一新で、そのシステムがどのような変化を遂げることになるのか。かうした視点は新鮮で興味深い。ところで新書ばかり読んでゐるが久々の岩波新書。新書を開いたところから、その紙質、製本、印刷の見事さは他の出版社の新書とは明らかに一線を画すもの。以前に比べ紙質がすこしさら/\しすぎと思へなくもないが岩波といへば、で精興社の印刷でカバーは半七印刷、中求製本とレベルが高い。