富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

新加坡→香港

fookpaktsuen2018-09-09

農暦七月晦日。晴。朝起きるとまた八時。昨日はさすがに疲れたか十時間寝てゐた。晴天。ラウンヂで朝食のあとホテル屋上のプールサイドに出てみたら太陽光を求めるガイジン多く樹木やパラソル下はすでに占拠。けして暑くはない。オーチャードの中心地で20階建のホテルだが周囲の建物が低いのでベイエリアまでの絶景。部屋にこもり昼前に出街。パラパラと降り出したと思つたら大雨。オーチャードロードでパラゴンからオーチャードロードのビルの軒を歩き地下のMRT站を抜けて郄島屋へ。以前より拡張?の紀伊国屋の広さは驚くばかり。地下の食料品売り場で家人に頼まれたバクテーのスープの素とトムヤンとラクサカップヌードル贖ふ。雨歇む。パラゴンに戻り旅行バッグの専門店でBriggs & Rileyの小型のキャリーバッグ贖ふ。Victorinoxのを10年くらゐ使つてゐたがボロボロで今回持参できず。ダンヒルの、こちらも10年は使つたビジネスバッグで来たが一昨日は資料が多く腰にキテしまつた。やはりキャリーで、しかも中に仕切りのないタイプの方が使ひやすい。Briggs & Rileyもいまだにノートブックといふよりかラップトップのパソコンを保護するやうな取り外し式のカバーも付属だつたが絶対に使はないので親切な店員に「これ、要らないから置いていつてもいゝ?」と尋ねると「ですよね」と受け取つてくれる。土曜昼過ぎのオーチャードはどの消費場所のフードコートも混雑。ホテルのビルの下にあつたアウトドアの潮州系の食堂に入る。肉饅はそこ/\食べられるが雲呑麺はひどかつた。ホテルに戻り旅荷まとめ午後3時前に退房。Grabで呼んだ白タクで空港へ(S$18)。ターミナル4が随分と空いてゐるのは、このターミナルはチャンギでも最新だが利用はCXがメインで他にKorean Airベトナム航空、それに一部のそこ/\マシなLCCのみ。チェックインカウンターの設備も最新式なら出国審査は全自動で手荷物検査も待ち行列もなく順調。Briggs & Rileyのバッグは消費税S$20(1,600円)還付だが、これも機械でパスポート、免税のレシートとクレジットカードのデータ読み取るだけ。高級デパートのやうな免税店が並ぶなかCXのラウンジへ。十分な広さで快適。ラウンヂチェアーに寛ぎ香檳酒と白ワイン、珍しくミモザ飲む。champagneはアタシは一杯目は美味しくて二杯目は飽きるけど口直しにミモザはいゝ鴨。外はすつかり晴れて南洋の新加坡も秋の空。CX716便。出発前の飲み物で香檳酒とキャロットジュースをもらつたが、これは混ぜたらミモザと違つてまずいはず。機体はCXが2016年導入のA350-900で機能的だが恐ろしく冷房がきつい。よく皆さん平気なもの。ブランケット2枚もらひ寒さ凌ぐ。機内食はチキンライス選んだが白切鶏ではなく茶色に煮込んだもの。松岡圭祐『黄砂の籠城』講談社文庫で上巻読む。1900年の義和団の乱紫禁城東南の東交民巷にある外国公使館エリアに籠城で柴五郎・陸軍中佐の活躍が有名だが、それを櫻井といふ陸軍伍長の視線から描く。清朝の北京を「帝都」と、この物語のなかでは呼ばれるが確かに大清の都ではあるが帝政ローマのローマやオスマン帝国コンスタンチノープル、近代では大英帝国のロンドンであるとか嘘でも日露戦争後の東京の自称・帝都に比べ当時の清末の北京が「帝都」か、には一寸違和感あり。シンガポールでの搭乗から離陸がスムーズだつたため香港には予定より少し早く晩10時前に着く。小雨模様。だが大雨の後だつたやうでエアポートエクスプレスで香港站まで来るとタクシーは長蛇の列。MTRで太古まで来て、こゝからだとタクシースタンドには空車並んでおり、これで帰宅。旅荷を解き荷物片付ける。
シンガポールを「明るい北朝鮮」と揶揄するところ「豊かな北朝鮮」も、あり。といつても現政権が実質的専制とはいへ北朝鮮のやうなキム体制での独裁でもなく中共のやうな露骨な人権弾圧や思想統制もなく優秀な賢人が形の上では選挙により選ばれ、汚職もない健全な政府が有能に機能すれば国民は、それを支持していれば快適に生活ができる、といふシンガポールシステム。開発独裁の見事な成功例。バカが強権発動したり日本のやうに立憲政治も危ないのに比べれば国家としての繁栄と安定でシンガポールは勝ち組か。


黄砂の籠城(上) (講談社文庫)

黄砂の籠城(上) (講談社文庫)