富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2018-08-21

農暦七月十一日。天気不安定で昼過ぎに、とんでもない驟雨。だが日本のゲリラ豪雨といふものゝの凄さを見て(それでもまだ幸ひにまだ実際に体験したことはない)それに比べれば。昼前に打合せに出向いた先が、かなり堅い(はずの)「先生」と呼ばれる業種の事務所。それが個人なら何でも結構だが何人もお抱へもゐるのだから立派な会社。で受付に入るなりあまりに低俗な内装趣味に頭がくら/\。絶対にこんな環境で働きたくない、オー人事オー人事である。錦糸町のキャバクラとか、品のないラブホとか、でもさうした世界は少なくても暗いので、かうした絢爛?趣味も多少それなりの落ち着きを見せるかも知れないが白昼堂々と、これは悪趣味意外の何ものでもない。用事が終はり油麻地だつたのでラーメンの〈横綱〉の前を通ると正午開店の10分余前だが既に2人が外で待つてゐて、それに並ぶ。開店で10名ほどの客で5分後には満席。大したもの。1987年創業で今でこそラーメンブームだが香港のラーメン専門店では先駆。いつも混んでゐる。ネギラーメンの醤油味を注文。アタシのイメージは普通のラーメンの上に生白ネギが山盛りだが供されたは味付けのネギのものでスープは鰹節かな?が濃厚で不思議な味。30年で横綱のラーメンは店独自の進化?をしてゐる。晩に文芸春秋9月号で高橋弘希送り火』を読む。相変はらず芥川賞受賞作といふのがアタシにはまるでピンとこない。同号の「この人の月間日記」がロバート=キャンベル氏。東京の匂ひで戦前の都市化、工業化で「読んでいて鼻を覆いたくなるほど匂いたつ風景が描かれている」作家として荷風ともう一人、蒲原有明をキャンベル先生は挙げてゐる。そも/\有明って誰?なアタシ。薄田泣菫の別名とは。泣菫の随筆は大好きで何冊も読んでゐるが詩情といふものに全く欠けてゐるアタシは有明を全く読んだことがなかつた。青空文庫有明の『七月七日』を読んでみる。その戦前に対してキャンベル先生は戦後の日本を「脱臭の歴史」といふ。確かに脱臭ばかり。キャンベル先生は、さういふ時代だからこそ読書のときもアロマやハンドクリームなどで「その時代に合った匂いを嗅ぐということがあってもおかしくない」と書いてゐるのだが、これは一寸……。キャンベル先生は最近、自民党杉田水脈LGBT蔑視発言のあと、自分の同性の年上パートナーとの生活を告白。日記のせめて行間にでも、さうした生活のことが、と思つたが、それは読みとれず。
高校野球、甲子園第100回大会、決勝戦大阪桐蔭史上初2度目の春夏連覇。秋田の金足農は悲願の東北勢初優勝飾れず。国民の金足農への関心と応援に昔の嘉義農への、それを感じたのはアタシだけであるまい。あれが1931年、昭和6年。当時と世相が同じでないことを祈るばかり。