富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2018-08-04

農暦六月廿三日。晴。土曜。官邸執務室で周末の残務処理。夕方に按摩して尖沙咀。家人と尖東の一平安。長崎ちゃんぽん。タンメン好きのアタシにはタンメンにありつけない香港で長崎ちゃんぽんは貴重。科学館。政府LCSDの映画シリーズで1968年といふ世界的にアバンギャルドな映画いくつも制作された年、それから半世紀!に合はせた映画特集で大島渚監督の『新宿泥棒日記』見る。「60年代末の不穏な空気に満ちた新宿の諸相を、 即興とドキュメンタリズムで猥雑かつアクチュアルにとらえた野心作」といふことで、それまで。何度見ても凄いといへば凄いが、それだけといへばそれだけの虚無感あり。ユニセックスな魅力醸し出す若い青年役の横尾忠則はすでに三十代。まだ二十歳の横山リエ。紀伊國屋書店社長役の田辺茂一佐藤慶唐十郎渡辺文雄麿赤兒、李礼仙、四谷シモン……と錚々たるメンツだが佐藤慶を除き芝居が若いといふか映画に馴れてゐないから。いずれにせよ戦後の雑然とした<新宿>といふ空間がフォークゲリラから混乱一途となり映画は東口交番襲撃と機動隊導入の実録でプツリと終はる。時代は70年安保を経て若者の希望が左翼運動から、この半世紀どのやうに移りゆくかは晋三のこの時代までアタシたちが見てきた通り。香港でも旺角西洋菜南街の歩行者専用区(2000年〜)が当初の計画は繁華街での自動車締出しによる大気汚染緩和と道路活用だつたが大道芸人ストリートミュージシャンが集まり、そのうちアイドル歌手狙ひや大音響のライブなど収集つかなくなり住民にしてみれば自動車騒音や大気汚染以上の環境悪化。政府はそれを口実に先月末で、この専用区を廃止。表面上は上述の環境対策だが、この解放区がいつ反中共で政治化するか、の懸念。また香港独立掲げる香港民族党の動きに政府は公安の監視をつけ、そればかりか社団条例適用し社会安定損なふ恐れありと今後の活動禁止方針を表明。香港外国特派員協会FCCで14日に、この民族党の代表招き講演会企画したが、それに対して中聯辦が堂々と開催再検討要請。FCC側は言論の自由を盾に講演会実施するといふ。少しずつであれ締めつけの厳しくなる世相。自分には関係ないやうで「ロッパ叱られる」と笑つてはいられない。それにしても反体制なるものの運動の果てがこの結果招いてゐると思ふと辛いとところで最初から黙つてシンガポール的に小康を得てゐればいゝのかしら。