富柏村香港日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴る日剩でござゐます

農暦十二月廿八日。夕方からの打合せの流れでO氏と湾仔のバーMに飲んでから食事のつもりがバーMで話題にことかゝず盛り上がり3時間も飲んでしまひ晩十時になつて某ラーメン屋に行つたら終ひで店のご亭主らと一緒に湾仔鵝頸橋の高級海鮮料理屋wに行き藍妹啤酒の啤酒小姐といふには年増冷やかしながら晩飯。皆さん銅鑼湾に飲みに行かれ帰るつもりが、ふとバーMに戻り一盞のみ楽しみ深更に帰宅。

家の前は広場でとてもにぎやか。テキ屋香具師が毎日100人ぐらいを前に実演販売してるんです。バナナのたたき売りは北九州の門司港が発祥だし、十徳ナイフとかヘビの薬売りとか、あらゆるものを扱った。どの口上にも節がついてリズミカルで、滑舌が素晴らしく良いんですよ。「サクラ」がうごめく、いかがわしさも魅力でした。
例えば風呂敷を持った学生服の若者が顔を伏せ、無言で泣いている。そこにおばさんが近づいていき「どげんした? ん? バイト先の万年筆工場が火事になって? 退職金代わりに20本もらった?」。「泣き売」と呼ばれる手口です。後で学生を追いかけていったら、50歳ぐらいのじいさんだった(笑)。毛布売りは「インドはカシミール地方の最高級品。神経痛もリウマチも治る」と嘯いたり、色が「赤と黒」の2色なのを「スタンダールやもん」と講釈を垂れたり。買うのをためらう客には「色が気に食わん?いいーって。寝る時はみーんな目ぇつぶるっちゃけん!」。このオチには大人も子どもも大笑い。思い返せば立派な大道芸でしたね。商売に直結するから真剣勝負。もう楽しくて、面白くて。毎日窓から見物して、口上を全部覚えました。