富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

水戸→香港

fookpaktsuen2018-01-28

農暦十二月十二日。朝の気温は摂氏零下4度の寒さだが陽がさして実家の居間も小さなヒーターだけでも気温は摂氏18度以上に上がる。母と四方山話しつゝ日記やメールの整理して旅荷まとめ驛ビルの寿司や(三崎丸)で母と寿司の昼餉。母と別れ常磐線の特急で上京。水戸駅のホームで特急ひたち入線の折、隣に立つてゐた客が入線する列車を須磨帆で撮影。私もいつもこんな感じなのか、と納得。東京驛で三つの昇降機乗り継ぎ成田エクスプレスのホームへ。品川から家人の乗つてきた列車に乗り込み成田空港。今日の車中で三島由紀夫命売ります』読了。ANAのラウンヂは案の定とんでもない混雑の爆満で難民が餌を立ち喰ひする態に唖然として逃げ出し「二度と乗りません」宣言のUAのラウンヂへ。こちらは広く余裕もあり快適。母からLINEでビデオ繋がり栃の心への優勝盃授与を見せられる。鶴竜も今日は白星の由。ANAのNH911便は香港の空港管制からの指示でと搭乗から遅れ離陸は予定出発時間から1時間押しの1915となる。UAのラウンヂから機内まで不味い白ワインのソーダ割り(White Wine Spritzer)何杯も飲む。寒がりのアタシだがJRの特急の暖房といひANAの機内と温さといひ気持ち悪くセーター脱いでTシャツで丁度良い。厚着してゐられる他客は大したもの。それにしてもANAでB787受領の遅れあるにせよB767-300はどうにかならないものかしら。あまりにも前時代的すぎ。座席こそCの前向き2-1-2配列やYの今どき2-3-2はありがいと思ふが、それ以外は全部が負の評価となる。香港に着いたは三更。買ひ出し荷物多く空港から円タク雇ひ帰宅。
▼ White Wine Spritzerについて。白ワインを炭酸水で割るなんて邪道だと思つてゐたが久ケ原T君から維納では昼間の気軽な酒の飲み方と聞いて「へぇ」と思つたが今日は鉄道やラウンヂ、機内の乾燥と暖房でこれを何杯も飲んでゐたところ丁度読んでゐたFT Weekendの好評連載“Lunch with the FT”で粘土動画“Wallance and Gromit”の製作者Nick Park氏が取材のランチ中にこれを飲んでゐたやうで偶然とはいへ愉しいところ。
▼由紀夫さんの『命売ります』こんな軽妙な大衆小説を三島が書いてゐたとは露とも知らず。内容は置いといて

これからはもう物事をあんまり複雑に考えるのは止しになさるんですね。人生も政治も案外単純浅薄なものですよ。もっとも、いつでも死ねる気でなくては、そういう心境にはなれませんがね。生きたいという欲が、すべて物事を複雑怪奇に見せてしまうんです。

といふ主人公(羽仁男)の語りが印象的。三島が葉隠だか何だか知らないが死ぬ気でいれば少なくとも人生も政治も案外単純浅薄なものであそこまで思ひ詰めなくても……と思ふのだが逆に以外と三島由紀夫にとつては人生も政治も単純浅薄だからこそ彼処まで諧謔的に芝居のやうに演じられたのかも。また物語のなかに登場する薫といふませて大人のやうな口ぶりで達観を説いてみせるのだが、この少年のあどけなさがどこか由紀夫さんか或いは由紀夫さんの理想像の<無垢>なのかと印象的。