富柏村香港日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴る日剩でござゐます

「香港公共広播九十年」展覧

農暦十一月十九日。快晴。聖誕節で休日。家人と太古から682系統のバスで沙田第一城へ。吐露湾岸……といつても巨大な運河のやうだが、水質もいくらかは改善されてゐる、そこを沙田方面に歩く。小一時間で歩行者専用の瀝源橋を渡り沙田公園抜けて香港文化博物館。香港公共放送90年展。

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香港の公共放送はBBCの姿勢と体制が基本。それが中共統治となり政府の干渉のなかぎりぎりの奮闘。戦前は中環の郵政総局に間借りのやうだつたが戦後は九龍塘にRadio Television HK(RTHK)として発展。戦前は福建、潮州方言でのニュース、音楽番組があつたのだつた。

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その敷地を巡る道路もBroadcast Drive(廣播道)と名付けられ、このポスターの建物も現存。日本でいへばNHKの神南のやうな場所。

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今でこそイスラム=テロリスト扱ひの偏見だがRTHKは香港のマイノリティ重視もありモスリム理解の番組やフィリピンや東南アジアから出稼ぎの家政婦相手の番組も。

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今でこそ大スターの周潤發もこの局の番組出身。青春歌謡といへば、やはりBeyondである。

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そしてRTHKといへば社会派ドラマ『獅子山下』である。名作揃ひ。公共団地の室内ロケの復元が見事。羅文の歌つた主題歌も秀逸。

ゴールデンハーヴェストの映画プロデューサーだつた蔡瀾とSF小説の作家・倪匡……30年前は当然、若い。

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ほんのさらりと参観のつもりが展示内容の充実で一時間余費やし昼も過ぎたが沙田の休日の人混み想像しただけで二の足を踏み大圍に向かつて歩く。古い集落や廃屋となつた洋館などあり。岸辺は車公廟。

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聖誕節に車公廟して春節に基督教会礼拝とか臍曲がりなこと考へる。吐露湾の突き当たりには初めて来た。城門水塘からの水がここに流れ出て、こゝからが海となる。かつてはもつと広い湾だつたが今では埋め立てられ巨大な用水路に見えるのだが。大圍の市街に入り路面の林園といふ食堂で昼食。

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昼はあまり食べないアタシには食べ過ぎ……これで夜もあまり食欲なし。MTRで深水埗へ。汝州街。布地や装飾関係の問屋多く家人がボタン、リボンやゴムの専門店へ。アタシの倫敦Foxの長傘二棹のゴムが伸びきつてしまひ、それを直すのに黄色と紺色のゴムを調達。太古。誠品書店。先日どこかで失くした台北の誠品書店で購入した携帯用のKawecoの万年筆を再び購入。

スポーツといふ銘柄でHK$290と万年筆にしては廉価なので、まだ助かつたが。帰宅すると家人が傘のゴムをすでに直してくれてゐた。晩は日テレで明石家さんまの何だか芸能人集めたトークバラエティの年末特集をだらだらと眺める。

▼呉座勇一「誤解生む「日本文化」の絶賛」朝日新聞 https://t.co/CPF3cjOKpu

戦前においては後醍醐天皇を裏切って室町幕府を開いた足利尊氏は逆賊として非難された。結果、逆賊の子孫である義満・義政も否定的に評価されたのだ。

室町時代の政治を肯定できない戦前の歴史教育は、代わりに文化を賛美した。義政の時代の東山文化は、和室・和食・茶の湯・生け花など日本の生活文化の源流として特筆されたのだ。

こうした傾向は平安時代への評価にも見られる。摂関政治を「世の中の嫌な事件や現実には目を瞑り」「権力争いに明け暮れていた」と批判する百田尚樹氏の『日本国紀』も、この時代の国風文化については「真に日本らしい傑出した文化」と絶賛する。

この評価には二つの問題がある。第一に「政治がダメでも文化は花開く」という誤解が生じる。実際には政治が安定してこそ文化は隆盛する。摂関政治の確立が『源氏物語』を生んだのだ。室町文化の絶頂も、義政の時代ではなく、政治的安定期である義教(義政の父)の時代に迎えた。

第二に「中国の影響を脱した純粋な日本文化があった」という誤解を生む。紫式部は『白氏文集』など漢籍を愛読し『源氏物語』に多く引用している。日本文化と中国文化を対立的に見るべきではないのだ。