富柏村香港日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴る日剩でござゐます

「首相が一番嫌われていたが……小池さんに感謝」

fookpaktsuen2017-10-22

農暦九月初三。日本を超大型台風襲ふが香港は朝から雲一つなき快晴。官邸執務室で書類整理。午後遅くジムのトレッドミルで走る。NIKEのアプリで走行距離が何年かかつたのか(使つてゐない時もあるが)1,000kmの大台に乗る。偶にしか着ない背広がさすがに草臥れたりサイズが合はなくなつたり20年近く着てゐたらデザインがあまりに時代遅れだつたり、で処分。スーツにおカネをかける趣味もなくMarks & Spencerあたりの吊るしでも結構いゝものがあるわよと家人に言はれ(M&Sといへば四半世紀も前に来港の片岡孝夫様のお供した際にふらりと入つたM&Sでスーツ試着したらぴったりで「それじゃ、これにしよう」と当然、裾も袖も詰めることもなく、翌日着てゐらしたら遉が一流の役者だとM&Sのスーツでも一流のテーラーメイドに見えると溜息が出たが)中環のM&Sで見てみたが今のタイトなスーツはアタシの体型にはやはりどこか合はずランドマーク地下のHackett London覗いたら春夏物のスーツが5割引きで丁度いゝ感じのスーツでサイズもあり、それを購入。但しアタシは容姿端麗の松嶋屋ではないので袖も裾も詰めないと着られたもんぢゃない。ロンドンのFox傘店均整の素敵な杖も或る特典で入手。今はまだ杖も必要ないが老後の備へ。老後年金生活でこんな杖は買えないだらう。帰宅して軽く夕食を済ませNHKのオンラインで衆院選挙速報を夜中まで眺める。
▼自民大勝。今日の選挙、自民党幹部が宣つたさうだが「首相が一番嫌われていたが……小池さんに感謝」と、この一言に尽きる。この時期に突然の総選挙提案した麻生漫画太郎の勘が誉められるところだが、それは小池の「排除」ご信託さま/\の結果論で、麻生は小池希望の組織が固まらないうちに、と狙つたわけで、小池発言さへなければ民進統合した希望に分があり晋三に利するやうなことはなかつたか。それでも小池のおかげで民主飲み込む希望といふ(自民党より幅の広い)張子の虎が生まれず(どうせ自民党の受け皿にはなれず)、結果、立憲民主党を産んだわけで、それだけでも不幸中の幸ひか。自民党大勝で二階幹事長が「安倍の次は安倍」などと無節操に宣ふのに対して小泉進次郎のまぁコメント上手。NHKの選挙特番で晋三続投?といふ問ひ政治は流動的でいかなる可能性もある、と。羽生田の当選が最も不愉快。民進党の前川「代表」は(もともと血行のよい顔色ではないが)顔面蒼白で「政権選択選挙として主張の違う政党とは組めないという判断だった」と共産や社民を指していふが、そも/\今回の選挙を政権選択選挙と考へてしまつたことが政治家としてダメ。これに対して公明党の山口代表は「政権選択の選挙になりきれず」と総括は正確。野田聖子自民党大勝は「絶対評価ではなく相対評価」と冷静。これまでダメな民主党民進党の批判票の受け皿となつて元気良かつた共産党が今回は立憲民主党に政権批判票攫われ不憫。アタシもこゝ何年も比例区は代々木に入れてゐたが今回は立民党であつた。それでも共産は今回の選挙は三極ではなく「自公、維新と希望」に対して「立憲民主党や共産の共闘」の二極だつたとして共産党議席減らしながらも立憲民主党議席伸ばし安倍政権への対抗勢力が大きくなることは嬉しい、とご立派。それにしても忌々しい小選挙区制。政権交代を可能にするどころか自民に利するばかり。こんなものを実現したのが細川の殿様とか現在の非自民に繋がる連中なのだから。比例区を見るといかに自民大勝でないか、がよくわかる。立民党とヘンな希望が自民党とほゞ同数。いかに国民全体が自民大勝願つてないか、の証左。それでも自民が強いのは中国と四国と九州でやはり薩長土佐なのだ、結局、倒幕後の政治は。困ったもの。
▼アタシの自負として、この日剩につらつら綴つてゐる政治的な分析で最も大きな誤謬は二度目の登板となつた晋三を完ぺきに侮つてゐたこと。2012年12月26日の日剩は「晋三再び、戦後の超克ってか?」と題して述べたのは

安倍再内閣成立。晋三にそれほど強力な政治力あるやうにも思へず、自民党も政権復帰となれば失敗許されず、そのときになぜ晋三なのか、が不思議。誰が背後で晋三を自民党の総裁=首相に推し上げたか。仮説だが「今回の自民党の政権復帰が最終的な到達点でないとしたら」は如何か。この機に首相任せるには意欲だけは人一倍の晋三が適任。失敗したら「また晋三がしくぢった」で済み、かりに上手くいっても二度目なら、ある程度の時期見計らひ有終で後進に禅譲も出来る。でフィクサー(誰かはわからぬが)或は総体としての<政治力>の最終的な目標は民主党も含めた政界の再編成かも。公明党もXデー控へ、いつまでも創価学会の党ではゐられず、Xデー以降狙ひ、かつての新進党での失敗があったが次は何らかの形で意欲的に政界再編成に吞まれるはず。一宗教団体の党から平等、人権、平和重視で集票狙ってくるのでせうね。

つまり晋三の力を見くびり、あくまで「時が熟す」までのツナギとして敢へてダメ男を首相に据へて……といふ見立てだが余りに甘かつた。寧ろ「貫禄」すら感じる今晩。自民大勝に「接戦」と終始冷静な姿勢見せた晋三。確実に晋三なりに進化が窺へる。森加計問題に「国会審議見た人は納得したのでは?」といふコメントは「ありえねぇだろ!」だが憲法改正は「時期ありきでない」、大勝に「やはり私どもに対するまだ厳しい風が吹いている、私に対しても厳しい風が吹いている中において、そういう声を立憲民主党が吸収しているのだろうと思っている」と下手したら自民党の中では一番冷静かも……嗚呼。ところで「年内に新経済政策まとめる考え」ってアベノミクスの総括はどーするんだよ!……ったく。晋三が(これだけ支持低下しても)ダメにならず選挙で勝ち続け「次」が現れず政界再編成もなく、それどころか創価学会のXデーもない。
▼さて憲法改正か。自民党で唯一の期待は石破さん。今晩、当選後の記者会見で憲法改正について「ムードでやっていいもんじゃない。あらゆる法体系の頂点にたっている憲法だから、ムードに流されることなく、きちんと理詰めでやっていく。そして他の法律との間に齟齬をきたさないようにやっていくというのは、実はすごく大変な作業だと思っている」と。御意。