富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

習近平中共主席来港

fookpaktsuen2017-06-29

農暦六月初六。快晴。習近平中共主席夫妻正午に来港。空港で専用機から降りる夫妻を迎へる「市民」と地元の小学生ら。行進曲風の音楽も紅旗にスカーフ姿も、なぜか「造反有理!」と聞こえる(おそらく「歓迎主席!」か)の繰り返しも丸っきり文革時代の中共彷彿。国家主席を警備する香港警察のSPと中共の公安とが容姿からして区別できるが協力してといふよりお互ひの流儀の違ひで同じ現場でぎこちない。ちなみに、この空港でのマスコミの取材は炎天下だが安全上の理由で日除けの傘やタオルの所持禁止。傘は「飛行場ゆゑ強風で飛ばされる」からださうだがタオルは?……たんに傘は雨傘革命でタオルは横断幕で反政府スローガンでも書かれることへの過剰対応。もし雨が降つたらどうしたのかしら。全員、ポンチョでも支給されるのか。まぁ中共だから雨くらゐ失せさせることは容易だが。勇気ある記者の一人がリムジンに乗り込もうとする習近平に「劉暁波はいつ釋法されますか?」「香港人は(全人代常委による)法律解釈を望んでいません、聞こえますか?」と声をかけたが公安に遮られ当然、主席は聞く耳をもたず。この行為が「国内」だつたら、この記者に命なし。これでもまだ香港に自由はあるのか。ちなみにこの国家主席歓迎に動員された「市民」は「香港青年動力協会」といふ政府系団体のメンバーで、その名誉賛助人が行政長官CY梁と中聯辦主任の張暁明。中共主席夫妻はリムジンで湾仔のホテルへ。これまで中共主席来港では湾仔のグランドハイアットホテル常宿。確か1997年の香港返還の時だつたかだけは江沢民は開業したばかりの李嘉誠財閥のハーバーグランド九龍に宿泊したか。それが、昨日のSCMPが今回の習近平は、すでに一般客の宿泊応じない措置までとつてゐたグランドハイアットではなく、同じエリアのルネッサンスハーバービューに宿泊先変更と報じる。公費の浪費抑制か、ホテルの格からして「まさか」だが(ちなみにグランドハイアットの総統套房は1泊HK$88Kに対してルネッサンスは3分の1)、その理由は警備上の問題でグランドハイアットは車寄せの屋根が3階部分まで高くほゞ屋外で、それに対してルネッサンスは車寄せも有蓋で狙撃など安全対策が徹底できるといふ。それらしい理由だが恐らくウソ。有蓋といふ点ではそれこそ両ホテルの中央に位置して今回の返還祝賀式典の主会場である香港貿易展覧中心の車寄せこそ安全対策上は一番確実で、そこからグランドハイアットには直接出入りできる専用通路もあり(ルネッサンスは消費施設を抜けねばならず)。さう考へるとグランドハイアット避けたのは明らかに何か安全警備上の「好ましくないこと」あつたからで、そこでサブで確保してゐたルネッサンスに移つたのでは? 晩に揚げたての自家製コロッケ頬張りながらテレビニュースで今日の中共主席の動きを追ふ。米国総統も真っ青の厳重な警備に守られる国家主席を頂く国家といふのは何なのかしら。
▼(論壇時評)右派の改憲「今なぜ「反体制」なのか」歴史社会学者・小熊英二こちら)。憲法学者の8月15日革命説じゃないが戦前からの国会も天皇制も綿々と続き「どこが戦後が新生日本国の誕生なのだ?」と、この記事を読んで最初思つたが、読んでゐるうちに戦前の体制存続願ふ右派が戦後どこれだけ反体制派として存在を続けたか。そして自民党の革命「棚上げ」で〈戦後〉が恒久化するとすら思へたが晋三の登場で……といふのは見事な分析と論法。