富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2017-06-28

農暦六月初五日。香港の日本総領事館から「習近平国家主席の香港訪問に伴う注意喚起」といふ知らせが届く(こちら)。まるで「習近平来港に注意せよ」と習近平を危険視するやうなタイトルだが、内容は7月1日に予定されてゐる「デモや集会の場所に絶対に近づかないように」と。近くと危ないと心配するのは自由だが「絶対に近づかないように」とまで言つてしまつていゝのかしら。一部、警察と小競り合ひになつたり逮捕者も出るものゝあくまで市民デモであつて万単位の市民の毎年恒例のお練り。主張も反中共、反行政長官、法輪功自然保護団体からLGBTまで。さうした市民の権利としての政治活動であるから「絶対に近づかないように」といふのは日本でいへば憲法の思想信条の自由や集会結社の自由を制限することになるのでは? それが「海外だから」で注意勧告する方もされる方も海外=危険といふ自縛モード。さらに「デモ隊や群衆に遭遇した場合には直ちにその場から離 れ安全な場所へ退避するよう努めてください」って、あなた、デモ隊って全学連の対機動隊のジグザグデモぢゃないんだから、老若男女の市民デモで銅鑼湾のそごうの前で「デモ隊だ〜っ!」と退避して安全な場所を探してゐたら、それこそ逆にかなりアブナイ奴だと思はれる。そして何よりも日本の安全保障(といふのか、これも)が怖いのは、北の脅威でも、この香港の市民デモでも注意勧告してゐる側が「ほんとうはここまで注意喚起しなくてもいゝのだけど」と思つてゐても「でも何かあった場合に対応していなかった責任を問われると困るから」でかうした情報を出してしまふこと。そこで全く根拠のない対処法(北朝鮮の核ミサイルで屋内に避難とか、紐育のセントラルパークで市民狙つたスパイナー対策で標的にならないやうジグザグに歩くとか)が述べられたり、例年行事的な市民デモでも「デモに絶対に近づくな」になつてしまふ。といふわけで私は総領事館からの注意喚起に従はず今年も運動不足解消にデモに参加するだらう。
▼香港の反政府活動家の連中が湾仔北の厳重な警戒を掻ひ潜り「香港祖国回帰」の象徴たる金紫荊のモニュメントに、2010年のノーベル平和賞受賞した、末期癌だといはれる人権運動家・劉暁波の無条件釈放と香港での普選実現求める大きな横断幕掲げることに成功。
▼再び防衛大臣稲田女(いなだめ)について。「誤解を受ける発言だった」とか「誤解を招きかねない」といふ釈明。そも/\稲田女が何を考えてゐるか、の問題であつて発言聞いた国民に疑問生じるものでなし。国民の誰もが明らかなことは、この稲田女が明らかに自らの職位を利用して特定の政党の特定の候補支援するやうに選挙民に求めてゐる、といふことで明らかすぎて誤解する余地もなし。荻上チキ指摘するに「文脈からし防衛省自衛隊と強いパイプのある候補だから支援してほしい」と訴へてをり、これは地元の皆様への理解へのお礼レベルではなく、明らかに「法に触れた発言」なのに「釈明すれば免罪か」と。