富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

BBC Proms in Dubai

fookpaktsuen2017-03-24

農暦二月廿七日。気温摂氏23度で天気は雨。ドバイで雨……とは驚くが火曜日は大雨だつたといふし昨晩S氏の話では(異常気象もあるが)緑化で雨が随分と多くなつたといふ。朝食も採つてないし少しはドバイ市街を歩こうか、ドバイ動物園まで歩いてみようかとホテルを出るが強烈な雨風厭ひホテル隣のKFCに雨宿り。KFCなんて何年ぶりか。少し雨も収まりメトロでAl Ghubaibaのバスステーションまで行つてみる。今朝の天気がうつてかはつて快晴。何があるわけではない。知らない都市で先ずは鉄道驛に行つてみるのが好きだがドバイにはメトロしかない。この三菱商事による鉄道事業を除けばドバイどころかアラブ首長国連邦には鉄道がない。そこでこのメトロは鳴り物入りでドバイらしく施設もかなり豪華。バスターミナルも旅情も何もなし。ターミナルのトイレが男性も行列で何かと思へば元々は4つだかある小便器のうち2つは故障で1つは便器ぢたい取り除かれたまゝで使へるのは一つだけ。これも意図的な戒律社会か。 メトロで1站分だけ、できるかぎり市中の細い道を歩いてみるが新しい町で何があるわけでもない。金曜の所為もありのんびりしたもの。日に何度もコーランが街中に流れるマレーや印尼のほうがよっぽど回教を意識。雨のあと水はけの悪さ。雨など乾いた砂地に吸ひ込まれていきさうだが混凝土化した地面で水はけもあまり考へられてゐない。午後になり有閑なら中東ならハンマームで風呂に入るところだがドバイはハンマームもスパ化してをり一件を見つけ入ると切り盛りはフィリピン人で按摩師はインド人。ホテルに戻り着替へ。部屋の掃除が未だで他の部屋掃除してゐた職員に「在室だが気遣はず掃除はいつでも」と伝へると来たのもフィリピン人の青年でドバイの就労事情など聞く。
世界で最大といふドバイモールへ。メトロ站から延々歩き辿りつくと正面に紀伊国屋書店。勿論、英語書籍が主だがかなりの意気込みか。余りの規模、人混みに歩き回る気力も失せる。世界最大もわかるところでドバイらしさだが、そもそも古典的なバザールすらもはや機能せず。そこで日本の地方都市がAeonの郊外型商場に小売りが収斂する以上にモールしか存在せずとなるのも必然的。モール脱出すると見事な人工湖あり、その向かふにBurj Khalifaの超高層ビルが聳へる。ブルジュハリファは全高828mで世界最高の206階建ての由。その目と鼻の先にドバイオペラあるが歩くと微妙に遠回りで時おりの驟雨も厭ふところ。Souk Al Baharといふ中近東風のモールに雨宿りで、そこでタクシー拾ひ、この単調な人工都市ぐるりと周りドバイオペラへ。Zaha Hadidの設計の音楽堂は見た目は圧巻。あとは内部の快適さと音響が気になるところ。BBC Promsがちょうど今週、このドバイオペラに遠征中で今晩がフィナレーのギャラでBBCフィルのコンサート。指揮はエドワード=ガードナー。開演までまだ2時間余ありロビーで新聞読みなど時間潰し。かうした施設の飲食が高くて不味いのは東西一緒だが詰まらないビーフのフォカッチャ(燻製牛肉挟んだパンでしかない)がAED30(900円)で1,000円クラスのワインがグラスでAED65(2,000円以上)。コンサートのプログラムがAED80也。何から何までバカ高い。覚悟してゐたが集まつてきた観衆はブラックタイにドレスといふ正装の客も少なくなくカジュアル皆無は大したものだがあちこちに英国旗散見され開場近くになると服装ぢたいユニオンジャックな人たちもちらほら。わかつてゐるが怖いもの感じる。なにせ後半は英国で国王戴冠式で奏でる ヘンデルの“Zadok the Priest”に始まり(次は数日前のPromsで単独公演もあつたエジプト人のウード奏者、Joseph Tawadrosの“Eye of the Beholder”こそ挟んだものゝ)英国人なら口ずさみ口笛吹くヘンリー=ウッドの“Fantasia on British Sea-Songs”(イギリスの海の歌による幻想曲)と続き、トーマス=アーンの“Rule Britannia!”で最後がエドガーの〈威風堂々〉……英国人のキチガイ騒ぎに運命を預けなければならない。ドバイに来て偶然この公演と遭遇したので見ることにしたが今更ながら「やめておけば良かった」とすら思ふ私。開場に行列で英国人たちが何故にそんな入場急ぐかといふと客席はオペラの際のオーケストラボックスがアリーナの立ち席でいゝ位置をとる客とグランドスタンドは英国旗など装飾の準備に時間をとりたいから。猛烈な大雨で雷鳴轟く。開演はショスタコーヴィッチの祝典序曲で、これはまだ良い。問題は次のピアノが若き天才、ベンジャミン=グローヴナーでサン=サーンス2番なのだが演奏はオケはこの劇場の音響はけして良いともいへないがグローヴナーの見事な演奏は聞き応へあり、でも楽章の合間の壮大な拍手で演奏はブチ切れ、この状況で見事に弾き通した彼は立派。曲が終はり、そこで拍手さへ続けばグローヴナーのアンコールに期待できるのだが楽章間では壮大な拍手する英国の彼らは曲が終はつての拍手はあくまで形式的で拍手などすぐ止んでしまふからグローヴナーは弾き終はつて舞台を去ると戻つてくるタイミングもなし。そして前半の最後はドビッシーの〈海〉である。今日のこのキチガイたち相手で、どうすればこの曲を選べるのか、が英国人の不思議なところ。この曲は演奏もぐちゃぐちゃ。楽章の間の拍手は予想通り盛大で、さすがに2楽章の静かな終はりで、そこでの拍手こそ疎らだつたしガードナーも無視して3楽章に入つたが、それにしてもひどいもの。どうにか〈海〉が終はり亦た盛大な拍手だつたがガードナーが引っ込むとさっと拍手は鳴り止みオケは立つタイミング外されコンマスが諦めたやうなジェスチャーで「退場しよう」とオケを促す。いちいち曲の紹介に出てくるエンタメ系の司会者も後半は盛り上がるでせうが前半はどうぞゆっくり演奏をお楽しみを、と口にしてこそゐたが、そんなのお構へなし。演奏前のロビーではボトルで香檳やワインが飛ぶやうに売れて彼らはすでに酔っ払ひ。英国人といふのは実に不思議な人たち。EUには同調できず国内ではスコットランド独立の問題を抱へ、数日前にはロンドンで国会議事堂傍らの橋上で無差別テロを受け……それでもかうして「ブリターニア、ブリターニア」と絶唱できる……やはりどこか病んでゐるが、こゝまで逝つてしまつてゐると大したもの。英国人の友人T君は「どうかあれを見て、 普通の英国人があれだとは思はないでくれたまへ」と請ふ気持ちもよくわかる。会場前や中入りでアタシがBrexitやロンドンテロの記事をエコノミスト誌で読んでゐるのは両隣りの客には失敬か。この英国人のドバイでのバカ騒ぎはISのテロ社中にとつては格好の標的かもしれぬ。真剣に爆発騒ぎあつてもおかしくない、と思へてコンサート終盤の発狂曲の始まる前に会場を出る。周囲の客には「これからといふ時に白けたアジア人」と映つたことだらう。少なくとも今晩こゝで無差別テロのないであらう理由は場所がアラブ首長国連邦で、こゝでの英国人狙つたテロはアラブの立場悪くする影響大であることくらゐ。いずれにせよ彼らのバカ騒ぎに付き合ふ道理はない。会場を出ると幸ひに天気は回復。メトロまで歩くが都市計画がそも/\路上の歩行者など想定してゐないから。ドバイモールへはメトロから空中回廊が結ばれてゐるが、そこに辿りついたものの路上から上がれない。最悪。回廊の下を横断歩道もない道路をいくつか渡り怖い思ひしてメトロに還る。さすがに腹が好きホテルに還る前に食堂をさがすがKFCやピザ等の餌食しかなく朝と晩もKFCも最悪なので地元系の鶏唐揚げ屋で不味いフライドチキンを喰ふ。ホテルに戻りイスラム圏くらい休肝日にしようかと思つたが眠れない気もしてホテルのパブへ。ビール1杯でAED50(1,500円)もする。そのへんの商店ではアルコールは販売もしてゐないので致し方ない。
▼昨日の籠池劇場、時差とフライトで少し追いついていけずアップデート。デーブ=スペクター曰く

まるでバラエティー番組を見ているようだった。テレビ局はゴールデンタイムに放送したかったでしょうね。関西弁であの強烈なキャラクター。誤解を恐れずに言えば「裏表のない正直者」で憎めなかった。本音を言わない他の政治家の方がよっぽど不誠実。「忖度」は便利なようでずるい日本語。「よろしくお願いします」って、 色んな意味を含み過ぎて英訳できない。その悪い部分が前面に出たのが森友学園の問題なんだと分かった。 当人たちはその自覚もなさそうで、なおさら怖い。
まさに「忖度(そんたく)」は、便利なようでずるい日本語。「よろしくお願いします」って、
色んな意味を含み過ぎて英訳できない。その悪い部分が前面に出たのが、森友学園の問題なんだと分かった。 当人たちはその自覚もなさそうで、なおさら怖い。

まさに正鵠を射るコメント。昭恵夫人付の政府職員谷女が何だか悪いものにされてゐるが首相や大臣付けの職員なら事務的にさういふ対応をするわけで責任もないだろ。ツッコミどころを間違へるとよくない。アタシが気になるのは夫人付け職員よりも夫人関係の個人会社Hの方である。