富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2017-01-29

農暦正月初二。昨日、善光寺さんで御朱印を「ほぼ日手帳に書いてはいただけませんよね……」とお尋ねしたら案の定「それは一寸」と。私にとつては御朱印帳のようなものなのだが。御朱印頂いて貼ればいゝのだけど。曇。正月初二は日捲りにも作灶修厨は忌とあるが昨晩散らかしたまゝの旅荷片付け部屋の整理で昼に至る。エプソンのプリンタ取り替へたら今回は印刷のほかスキャンまですべてコードレスに。考へてみたらノートブックも何もかもが電源以外コードレスになつてゐた。お昼は日本で通販で入手の雲仙きのこ本舗の養々麺。午後もいろいろ整理。雨になる。東京での楽しみは銀座だが今回は1日だけ銀座に出たものゝ木挽丁で播磨屋の〈沼津〉がかかつてをり慌てゝ歌舞伎座に往き銀座はそれつきり。買ひ物も好きなバーも逸してしまつたが『銀座百点』だけは家人が貰つてきてくれた。今でいふところの「無料タウン誌」だが遉がに銀座で立派な文化。昨日香港に戻る機内で読んだ1月号のうち八千代と松嶋屋の対談のことは昨日書いたが芝居関連ではもう一つ山川静夫が聞く東蔵芸談も面白い。團十郎11襲名披露の助六で並び傾城の東蔵に「玉太郎さん、一寸ね、目が下がって見えますからご研究を」と成田屋勘三郎17からは「あなたねぇ、藤雄さんとおんなしやうに目の下へあかんべえみたいに紅入れないほうがいいよ」と。かういふ話は「ちょっとしたこと」だが言はれた加賀屋なら加賀屋が語つておかないと消えてしまふ海老様なり大中村の性格まで滲み出る一言なのだから。その2月号を読む。この雑誌の俳句コーナーの選者は高橋睦郎。で毎年のやうに文化人集めた「百点句会」あつたが昨年12月に2年8ヶ月ぶり!に開催で、その句会の模様も楽しそう。なにせ参加者が浅井慎平嵐山光三郎小田島雄志、関容子、仲畑貴志南伸坊矢野誠一らに高橋睦郎なのだから。そこでの歓談で酒の話になり飲む量を問はれた睦郎が今は二合くらゐがいちばん気持ちいゝと述べ昔に詠んだ句を披露する。
もり二枚熱燗二合やゝ暮れぬ
午後遅くに蕎麦屋で一酌の気持ち実によくわかる。だが酒が先だし、飲んだ後のもりは一枚でせう。かりに二枚でも詠む時は一枚にすべき(笑)。
熱燗の二合にせいろでやゝ暮れぬ
としたいところ。もう一つ、作家の朝吹真理子の文章で「どきり」とする一文あり。

突飛な書きぶりだが実に納得させられる。
▼香港で春節のお楽しみといへば除夜に黃大仙に並び半夜三更に門が開くと同時にハナで焼香争ふタレント・黃夏螵刀自の干支モチーフの奇抜な衣装。もともとかなり濃いキャラでこれだから黃大仙の神様も驚くほど。今年は当然、酉だが、この装束もすべてお手製だといふから大したもの。もはや毎年恒例だが実は始めて干支一巡にはあと2年かゝるのだとか。齢八十三。