富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Monsieur le Président, vous êtes tombé dans le piège!

fookpaktsuen2015-11-22

農暦十月十一日。小雪。気温は摂氏27.6度で55年来最熱の小雪の由。地球温暖化は事実だらうが55年前も、こんな「熱い冬」があつたといふこと。朝イチでラフマニノフのピアノ協奏曲2番を牛牛とはあまりにキャラが好対照の郎朗で聴き昨晩の何とも消化不良の溜飲を下げる(Valery Gergiev指揮、Mariinsky劇場楽団)。陋宅近くの、いつも朝の校長の放送がソ連式にうるさい仏教系小学校で区議会議員選の投票。香港は投票当日も宣伝可。圧倒的に新民党候補が凄い。公民党の現役が退き新人が後を襲ひ新民党候補との一騎打ち。組織力と選挙活動の前倒し、マンパワーと資金力では圧倒的に新民党候補が有利。北京より鉄道で(当たり前か)Dazhao氏来港で昼に日本人倶楽部で酒飲み。鉄道ひとつ話続く。或る鉄道模型のコンテストに出展予定なんです、とDazhao氏に製作途中の車両見せられる。昔の阪堺電車。なぜ阪堺?と思つたら今回のテーマが「阪堺」なんださうな。テーマだけ限定で縮尺とか素材は全くの自由。フリーの部門もあり想像車両もいゝんださうな。それなら阪堺の場所柄で花電車で、新地も近いことだし「チョンの間電車は?」と私。車両が4、5部屋にカーテンで仕切られてゐて車掌ならぬトレインアテンダントが恵比寿町から住吉、あるいは天王寺からでの30分でのサービス。Dazhao氏が相手だと「MTR站のコンコースのタイルの面取り」だけでブラタモリできる。諸用済ませ晩に陋宅でドライカレー。NHKのドキュメントで瀬戸内寂聴刀自を見る。出家せねば一介の女流作家、長寿、旺盛な肉食、セックスを語り、今夏は国会前のデモで演説……悟りの境地かマーケティングの境地か、いずれにせよ「電通にも負けない」のは事実。凄い。晩十時過ぎでも陋宅から見下ろす投票所の灯りは未だ煌々。晩十時半が投票締め切りで朝の七時半から実に15時間。大阪の府知事、市長選挙は晩8時終了で早々に大阪維新の会候補圧倒的勝利と報じられる。自共共闘でも自民党総裁の晋三が維新応援なのだから。松府知事のあの、マイクの持ち方がベタな卡拉OKっぽくて生理的嫌悪だわ。
▼「敵を作らぬ戦略は即ち無敵な力をつける戦略だ」とスイスの高官が語る、と元世界銀行副総裁の西水美恵子さん(毎日新聞)。スイス国防の無敵な力は抑止力。スイスを攻撃すれば大損するだけといふ状態を国のあらゆる政策を駆使して包括的に作り上げ国際社会の変動に対応しつゝ維持することで戦争を未然に防ぐ力をつける。国連はじめ国際機構の積極的な誘致、グローバルな金融、保守的なマクロ政策、高度な国際信用……米国追従の集団的自衛権で「美しい国」なんて言つてる場合ぢゃないだろ、晋三よ。パリのテロについて「オランド大統領宛ての手紙」«Monsieur le Président, vous êtes tombé dans le piège!»(Le Monde)邦訳はこちら