富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2015-05-11

農暦三月二十三日。雨。晩に韮と大根おろしの鍋で豚肉をしゃぶ/\。昨日T夫妻からいたゞいた横浜文明堂のどら焼頬張る。今季は横浜ベイスターズまさかの好調。
▼周末、防衛相中谷某が沖縄県庁でと翁長知事と会談。「辺野古が唯一の解決策といふ考へに日米両政府が固執すると日米安保体制に大きな禍根残す」「日米同盟はもっと品格がある、誇れるものであってほしい」と知事。それにしても気になる知事室の背景の漢文の屏風。中世に尚泰久王による「万国津梁の鐘」(国指定重要文化財)の銘文。

琉球国者南海勝地、而鍾三韓之秀、以大明為輔車、以日域為唇歯、在此二中間湧出之蓬莱島也。以舟楫為万国之津梁、異産至宝充満十方刹、地霊人物遠扇和夏之仁風。

これを見て沖縄の中国に対する属国根性だとか日本に対するアンチテーゼと見る向きもあり(こちら)だから翁長は……といはれさうだが実は前知事の仲井真の時にもこれが知事室にあり。琉球ばかりか日本かてかつて漢文の定着は事実。揶揄したところで、だうしやうもない気がするが。宣長

漢意とは漢国のふりを好みかの国をたふとぶのみをいふにあらず大かた世の人の万の事の善悪是非を論ひ物の理をさだめいふたぐひすべてみな漢籍の趣なるをいふ也。(玉勝間)

はけして支那趣味、中国主義やシノワズリの否定ではなく「中国の例を以つて」安易にグローバリズムに陥るべからずといふ指摘なのだと松岡正剛が正鵠を得た指摘をしてゐたが那覇で知事室の漢文の屏風にまで目くじら立てる今日の風潮が結局のところ日米安保といふスタンダードへの諂ひだと思ふと情けないかぎり。
▼国際線全乗客の情報提出を航空会社に義務づけ。風が吹けば桶屋が儲かる、で日本政府は「テロ対策」口実に来月から実施。氏名や旅券番号ばかりか航空券予約の際のクレジットカード番号、電話、メールアドレスから同行者名まで把握の由。これまでも入管法令で必要に応じて書面でのデータ提出だつたのに対して今はPNR(乗客予約情報)デジタル化されてゐるため全データの提出と管理も容易。困つた世の中。