富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二つ目の窓

fookpaktsuen2015-03-15

農暦正月廿五日。とんでもない湿気。濃霧。陋宅の窓の外は真っ白。日曜だが仕事終はらず官邸でご執務。午後遅く油麻地。CinematiqueでZ嬢と河瀬直美監督『二つ目の窓』見る。東京で生まれ奄美大島に移つて母と二人暮らしの16歳の少年の大人になる過程での(小説や映画で最もハズレもない)通過儀礼的な数ヶ月といへばそれまで。だが河瀬直美の凄さは「どこから探してきたの?」な魅力ある演じ手には更に何かが降りてきて宿つてゐるやうで、この映画では奄美大島の神様が宿る風土までが映されてしまふから。主人公は村上淳の息子の虹郎君で(母が別れた父役で村上淳も出てをゐる)、その彼女役の吉永淳がとても魅力的。だが若いのにあそこまで何でもわかつてゐるやうでは彼としては映画の物語でもさうだがジレンマを感じるはず。役者にしても風土にしても、それで十分なのだがら最後のシーンで、これはポスターにもなつてゐるのでネタバレではないだらうが、二人が裸で海の中を泳ぐ幻想的なシーンが果たして必要なのかどうか、と思ふ。「青い珊瑚礁」みたいで、ちょっとベタすぎないかしら。油麻地の果物市場を覗く。日曜夜なのに何軒もの果物屋が店を開けてをり問屋なのだが小売りは築地と同じ。ドリアンにはまだ早いこの時期の売りは何といつても日本の熊本などの高級いちご。