富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

建物について偶然いろ/\

fookpaktsuen2011-07-17

七月十七日(日)何も予定のない日曜日なのにまた、朝の六時前には目覚めてしまつた。ようやく晴れ間が少し見える。チョートク先生倣ひ十数年ぶりにATOK使つてみる。変換が恐ろしく速い。「ことえり」から千数百語のあたしのユーザ辞書を移したんで暫く使つてみやう。それでもあまり暑からず冷房も要らず。小一時間走つてからジムで昼にかけ一時間の有酸素運動。帰宅してからZ嬢と上環へ。The Upper Station Galleryで写真家・岑允逸(Dustin Shum)のBlock(某座)といふ香港の公共団地をテーマにした写真展を見る。公共団地の写真といふと懐古主義に陥りがちだが香港の何処にでもある無個性な公共団地を写真という技で建物もダイナミックに見せお粗末な化粧直しの塗装も写真のなかでは美的に見せてしまふから面白い写真展。Hollywood Rdあたり漫歩、でFCCへ。途中、蘭桂坊の裏手にある炉端焼き「騒々」(ざわ/\)の看板(実物は3x6mくらゐでかなり巨きい)がなか/\見事。FCCのラウンジで麦酒一杯。普段とても無口な給仕のF君が「いいカメラだ」とアタシの徠卡(M3にf2.0の35ミリとファインダー)眺めうっとり。数碼カメラを見たら立派なデジイチやいま流行のオリンパスペンでも「いいカメラだ」といふかもしれないが、あんなうっとりとした緩い目つきにはなるまひ。帰宅して鮭の炊き込みご飯と味噌汁。読書。
▼VirtualTourisit.comが選んだ第3回の世界十大Ugliest-buildings(こちら)の第二位に澳門の新リスボア、第八位に香港芸術館が入選。天晴れ。新リスボアは醜悪だが敢へて下品と評されるのを意識してゐた?ところが意図的で。香港芸術館は確かに無駄な箱物行政そのものだが香港芸術館が入選するなら隣の香港文化中心も勝るとも劣らず、の醜悪さ。記念すべき第一位に選ばれた英国はSheffieldのSheffield Hallam University(写真左1)の宿舎もヘンだが未来主義の歴史的産物としては評価できる加茂。それに対してアタシならやはり「間違った設計」といふ基本コンセプトが見事な建物としてはやはり香港中央図書館を推したい。これほど醜悪な建物は世界でも稀。こんな建物に入る自分が恥ずかしいのでよっぽど用事がないと往けない。
▼建築といへば香港の不動産売買の誇大広告を皮肉つたKing's Cubeなる、深水埗のわずか1.4平米の貸間をばイメージ的に高級物件化して見せた広告が傑作。「物は言ひやう」とはよくいつたもの。ところで今日もジムに行く途中で「放盤でHK$100の現金券贈呈」と不動産屋に張り紙あり。放盤=物件売りに出したら数千万円の物件で、その場で不動産屋が先づスーパーの1000円の商品券を、って何かヘンぢゃないかしら。それがヘンぢゃないから香港の不動産感覚は気違ひになつてゐる。