富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月廿七日(水)先週末の維納フィル。今回の来港が59年のカラヤン率いた以来の二度目と書いたが勘違い。11年前にも来港公演あり。日曜晩のアンコールでのヨハン=シュトラウスの曲は「南国の薔薇」の由。信報の劉偉霖による評は「けちょんけちょん」だが伯林フィルと比べてはいけぬし「熟した果樹の木から堕つる、腐りかけ直前」のような良さを見てとるべき。早晩にFCCのバー。ドライマティーニ二杯。バーテンダーのD氏は余の顔を見るなり「ウヰスキーソーダ?」と尋ねるが「今日はstraight upでドライマティーニ」と注文するとカクテルグラスでの場合、オリーブ抜きで檸檬皮だけ、という好みまで覚えていてくれるのがありがたい。新聞を数紙読み、帰ろうとするとサッとウェットティッシュが出てきて、新聞のインクで汚れた指先をきれいにできるのがいいじゃないか(山口瞳に言えば)。中環の某伊太利風料理屋でM氏の呼びかけでこぢんまりと香港に十数年住われたO女史の送別会。M氏はこの店のジャズバンドで今晩ライブもあり。朝五時に目覚める身は一つステージ見て早々と帰宅。今晩の競馬、第2レース(どん尻のクラス5)で畏友A君の家族所有の「新英」がホワイト騎乗で一番人気。馬主C氏のDashing Championは得意のハッピーヴァレイだがドゥルーズ騎乗で26倍と期待薄。でそれぞれに御祝儀賭けの結果、新英は沈んだが16倍でDashing Championは見事一着。天晴れ。
▼築地のH君謹製、野党連立内閣。民主党影の内閣とかここまで間口を広げると面白いのだが。総理・小沢一郎内閣官房岡田克也、外務・加藤紘一、財務・菅直人(副総理)、文部・梅原猛(亡霊という噂もあるが長老)、法務・福島瑞穂、総務・綿貫民輔、防衛・山崎拓、厚生労働・円より子、経済産業・野田毅、国土交通・平岡秀夫、環境・岡崎トミ子、国家公安・河村たかし、農林水産・山田正彦というもの。AFP電が安倍首相誕生を“ 'Beautiful Country' ignores ugly income gap”と指摘するのは的確。蘋果日報など成蹊大学まで取材して学生時代の安倍三世のことまで記事にする熱心さは日本の新聞よりずっとマシ。大学のゼミの記念写真でもいちばん後方で顔だけ出す地味なお坊ちゃまがまさか首相とは、の感。「街の声」も東京都で日の丸・君が代強制反対訴訟の原告である元教員に教育基本法改正へ意欲的な安倍三世をどう思うか?と取材するなど日本の新聞が見習うべき、の報道の深さ。
WTO(世界貿易機構)の閣僚会合、結局の交渉決裂。昨年の、あの香港での「大騒ぎ」はいったい何だったのか。
▼上海の(市長より偉い)上海党委書記で中央政治局常委の陳良宇君社会保障基金汚職事件に絡み解任。この汚職には江沢民夫人の甥で上海市公安局長(上海市武警総隊第一政委も兼任)の呉某や上海市政協副主席で上海市統戦部長の沈某なども関与。中紀委(中共中央紀律検査委員会)は上海に百名の捜査員を派遣。上海の全ての市、党幹部の逃亡未然に防ぐため彼らの旅券や香港マカオ通行証などは上級部署に預けられ、出国には中紀委の批准求められ、空港や駅などでは武装警察が警戒。上海トップの汚職も大したものだが患癌が原因で最近は公の場に姿現わさぬと伝えられる副総理・黄菊君の妻もこの汚職に絡むと噂あり。黄菊君は上海市長から市党委書記、中央政治局常委で副総理となり陳良宇もその洋々たる前途であったもの。この党地方幹部らの汚職、贈収賄は勿論、上海だけの話のはずもなく天津、福建省、広西自治区などにも捜査の手が延びる。福島県知事佐藤某の土建政治など比べ物にならぬ規模なのは、中国の社会保障基金、90年代より整備始まるが近年は毎年2割規模での増長。すでに基金規模は中国のGDPの1割にあたる1.84兆元!。基金の管理運用は地方自治体には難しく半官半民の基金管理会社に委託。ここが汚職の温床となり「公金横領はせぬが」で民間企業への資金流用などあり、のやりたい放題。

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