富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2018-09-11

農暦八月二日。曇。早晩に金鐘。軽く夕食済まさうとPacific Place地下のフードコートにあるTriple O'sでハンバーガーか、と向かつたら一頭の雌の白豹が獲物の厚切りサーモンとデカい生海老の刺身を美味そうに食べている……野生の王国。まぁ牛を殺したハンバーガー食べてゐるアタシも他人のこと笑へないが。尖沙咀。バーBにマティーニハイボール飲む。ご亭主U氏に昨年7周年記念の粗品差し上げましたっけ?と問はれオリジナルトランプいたゞく。アタシもそれぢゃ次回、アタシが制作に携はつた珍品のトランプ差し上げますよ、と応へたら更に「それぢゃ」とオリジナルでも特製の豪華版のトランプまで供され常客でもないのに申し訳ないかぎり。独酌してゐたら須磨帆に新加坡のO氏より「新加坡に来られていたやうで、連絡いたゞければ拙宅で一杯お誘ひしたのに残念」とSMSが。2009年にクランジ競馬場にお誘ひいたゞき、その後も何度か香港の沙田競馬場香港カップで邂逅、ご挨拶こそしてゐたが、その程度ではまさか新加坡で「来ました!」といふのも失礼か、と思つてゐたらO氏がこの拙い日剩を読まれてゐたとはこそばゆいかぎり。The Oneの映画館。知己のScud(雲翔)監督の映画『三十儿立(Thirty Years of Adonis)の上映は香港同志影展(HKLGFF)の内。場内に入るとScud監督がスクリーン前に司会と立つてゐて久々に、とご挨拶。上映前挨拶と上映後のトークある由。Scud監督は2008年の、香港で地味な野球のプレーヤーたちを主人公にした『無野之城』以来、彼の嗜好で男を脱がす一連のゲイ映画。2016年の『同流合烏(ユートピア)』は三島由紀夫の『豊饒の海』にかなり感化されたもので日本での上映のためアタシが日本語の字幕も書いてあげたが、作風は数を重ねる毎に観念的、精神世界で今回の『三十ㄦ立』はゲイの青年が三十で命落とすまでの生涯。正直、昭和のATG映画を知るアタシの世代には、今回の作品は一寸、nudityとゲイの性行為描写、死、観念の世界が未整理のまゝな気がしないでもなし。映画上映後のQ&A苦手なので場内明るくなる前に辞す。