富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2018-05-21

農暦四月初七。朝イチで新界での用事済ませ酷暑のなか大埔へ。私はケチなのでティッシュのTempoは4枚重ねだから1枚ずつ割いて使ふのだがMTRの中で、それをやつてゐたら目の前のお婆ちゃんに「あんた、偉いわ」と褒められた。落馬洲から福田口岸で深圳入り。イミグレで顔写真ばかりか両手十本指の指紋まで撮られる。これぢゃ飲み屋でグラスも持てない。赤線で会展中心へ。 いつの間にか香港にもない超モダンな福田区の超近代的なビジネスタウン。卓越時代廣場の渣打銀行で銀行手続き。5年前だか口座開設したのは当時、深圳音楽廳は音響が良い、世界的な演奏家も来るといふことでだつたが深圳の観衆マナーの酷さには一度で辟易して二度と訪れてをらずチケット入手もアリペイや淘寶あればキャッシュレスで国内の銀行口座は今更不要。その口座が紐付のパスポートが失効してゐますよ、新しい紐付けをと連絡あり。で今回、簡単に済ますつもりが「中共の外国人居留証がない」「日本の身分証もない?」で手間かゝり始め「なぜ日本には身分証がないのだ?」と銀行手続きはまるで公安の取り調べのやうになつてきたが「日本は自由社会なので身分証なんて要らないのだ〜!」と噛ましたところで相手は笑ひもせず香港の永久居民証見せても国籍は日本だから香港IDでは紐付にならぬ、といふ。5年前は香港の同銀行の信用を基に旅券と香港IDで何ら問題なく口座開設できたのだが当然のやうにマネーロンダリングや不正防止のため口座管理が厳しくなつてゐるのだと銀行経理は困り顔。必要なのは日本国籍で、日本の住基カードマイナンバーでもあればいゝのだらうがアタシは海外在住が長く、さうしたものすら取得できぬし、それよりも住基カードでもマイナンバーでも「名前にローマ字表記もない」 から使へない。それじゃ面倒かけるから「口座解約でも構はない」と告げたが「本人確認ができないから解約もすぐにできない」といふ。結局、埓あかず「検討して連絡するから」で銀行出る。往路は猛暑の下、地面をビルの日陰から日陰へと抜けて「ずいぶんと通行人が少ない」と思つたが超高層ビルは地下で結ばれており丁度昼時でオフィスビルに勤める何万といふ諸君が地下街で昼食ラッシュ。安くとも30元台、平均は40元で50元台も少なくないオフィスランチ。つまり東京ともう格差もない。青線の地下鉄で老街へ。粤海酒店の蕎麦人で手打ちとろゝ蕎麦啜る。向西路の馴染みの按摩やで足浴済ませたころに銀行から電話あり「国籍から日本の身分証と紐付けできないのがパスポートで本人確認は出来てゐて香港の同銀行口座の信用再確認して、これで問題ない。次に今一度、新旧旅券の提示を」と。香港に戻る。深圳から香港に戻ると昔は文明社会に帰還したやうだつたが中共での(ネットや思想信条自由の制限を除けば)ハード的には深圳の殊に福田地区だが未来都市のやうで香港がとてもローカルに見える。とにかくあの薄汚れて草臥れた人民元の紙幣がキャシュレスでどこかに消えてしまつたのだから。香港に戻り太古のKornhillに寄る。こゝも自動レヂやAeonの app使つたショッピング展開してゐて超級市場で欲しい商品はアプリの型録から予め選んでおき商品棚から目当てのものをバスケットに入れるか、その場で商品のバーコードと個数をスキャンしておけばチェックアウトでQRコードかざせばオクトパスや信用卡で支払ひも簡単と。確かにこれは重宝。Aeon Cardが1枚しかなくても家族で同じアカウントの共有まで出来てしまふ。で初めてこのアプリ使つて買つたものといへば森永のチョイスビスケットと亀田製菓のワサビ柿の種であった。

▼香港のMTR站の内でも構造の複雑さでは難度5の鰂魚涌站。従前からの港島線に将軍澳線(かつては観塘線)がX字に交差し2つの線の高低差もあるため階段とエスカレータでの接続が迂回、迂回でさすがのアタシも方向感覚がおかしくなるほど。站の構造図見ただけでも目が回る が構造図で興味深いのが鰂魚涌站の太古側の出口コンコースから続く歩道橋。本来の站舎は站舎内で、そこから外に繋がる歩道橋は別と思ふが、これが港島線開通、鰂魚涌站開業時にはすでに設けられてゐた歩道橋で站舎内からエスカレーターで上がりMTRの所有、管理物件となつてゐる。鰂魚涌の開発は進んだが、その太古坊がこの歩道橋とは全く違ふエリアに出来てしまい太古坊は太古坊で鰂魚涌站とはぎりぎり直接ではない歩道橋を造るハメになり、このMTRの巨大な歩道橋はすでに遺物と化してゐる。