富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-01-28

農暦十二月十九日。雨。この季節、冬の香港は快晴続きのはずが今年は雨ばかり。今日も本降り。朝は大雨。甘利大臣辞任表明。晩はおでん頬張り郷里の「月の井」を飲む。「楽しみに」普段は甘利見ないNHKのNW9を見る。晋三は27日の参院代表質問の答弁で甘利君について「速やかに必要な調査を行い、自ら説明責任を果たしたうえで、経済再生、TPPをはじめとする重要な職務に引き続き邁進してもらいたい」と言っちゃったよね。甘利大臣のお詫びは国民より晋三に対して。タカムラ副総裁も甘利氏は「わなにはめられた」と被害者として庇ふ。罠に嵌つた責任は不問か。

本来、安倍政権を支えるべき中心たる人間が逆に安倍政権の足を引っ張る。安倍内閣の一員としての閣僚、甘利明にとっては誠に耐えがたい事態だ。

って、自分が起こした不祥事で「耐えがたい」とは……意味不明。NW9は一通り今日の映像流したあと「ここからは政治部の原記者に聞きます」で原記者出てくれば自民党の公式見解聞いてゐるやうなものなのでわかりやすいがキャスターは相変はらずコメントなし、で18分で甘利辞任は終はり北朝鮮の核ミサイル発射の兆候といふ、けして今日の緊迫でもないニュースに。ここではキャスターの北朝鮮への憂慮について強いコメント。この甘利疑惑につき東京新聞「こち特」デスクメモで

今回の疑惑で懸念しているのは世間の反応だ。鈍いというか、あまりに熱を感じない。それは疑惑が薄いからではない。仮に事実であっても「世の中そんなもの」。そんな諦観にとらわれているからに見える。16世紀のフランス青年・ラ=ボエシの「自発的隷属論」。時代と国を超えて同じ問いに迫っている。

と田原牧記者。
▼中国高官との会食や高価な記念品贈与で職権乱用問はれた香港市人民政府制服組元キャリアの湯顯明、香港市人民政府司法当局は調査の結果、不起訴決定。公務員の汚職贈賄質す簾政専員(ICACトップ)が、この態、それを取り締まれぬ政府とは何か。この贈収賄で具体的な役得は無かつたとするが退職後に中共の全国政協委員に推挙され今は中共でいくら傀儡とはいへ政治協商会議のメンバーなのだから現職時代の贈賄あつての……だが政協会議のメンバーは無償とはいへ一党独裁中共で政協メンバーの役得かなり有り。政府高官が中共での権力に縋るのだから一国両制など維持できるはずもなし。
▼香港大學騒動。CY梁が大學の運営母体の首席にアーサー王・李國章推挙、政府寄りの運営母体もこれを追従で首席に。教育界の魔王の首席就任に香港大學の教職員の反発大。火曜日にアーサー李が首席就任後初の会議ありアーサー李に反対する学生らが抗議活動で警察出る騒ぎ。これについて本日、アーサー王と英国人学長が共同記者会見。学長は学生の表現の意思尊重しつゝも暴力沙汰を非難。アーサー王は学生らの暴力行為は“they were on drugs”(麻薬中毒)と罵り、毒を盛つたのは公民党とまで非難。公民党は弁護士ら香港大出身者多く党魁の余若薇が火曜日の抗議活動に夕方まで加はつてゐたのは事実だが、あくまで大学OBとしての行動で党が学生ら扇動は事実無根と反論。学生らの行動も今更、ドアを破るなどの抗議活動に非難もあらうが大学運営のトップに就かうといふ立場のアーサー王も学生らを「麻薬中毒」と罵るとは余りに稚拙。世の中あきらかに劣化。
▼聖上陛下と皇后さまのフィリピン訪問。これにあたつてのアキノ大統領の挨拶から。

貴国の象徴として、善意を体現する存在として、天皇、皇后両陛下がいかなる困難を担われてきたのか、私には想像することしかできません。私が大統領の座に就く際には、任期中に限っては自身を犠牲にしなければならないということを十分承知して、国民から負託されたこの職務を引き受けました。その私が両陛下にお会いして実感し、畏敬の念を抱いたのは、両陛下は生まれながらにしてこうした重荷を担い、両国の歴史に影を落とした時期に他者が下した決断の重みを背負ってこられねばならなかったということです。

かうした挨拶は公式的に差し障りなきもの少なくないなかアキノ大統領のこの発言は敬服に値する。これに対して聖上はフィリピンで先の大戦で100万人以上が犠牲になつたことは「日本人が忘れてはならない」と。