富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

水戸で震度5

fookpaktsuen2011-03-16

三月十六日(水)日本のホテル、冬の乾燥はどうにかならぬのかしら。時節柄、節水だが湯船に熱湯張り湯沸かしの湯も蓋を開けバスタオルも濡らし部屋に掛けて、の加湿対策でマスクして寝るが朝起きると喉が痛む。携帯にSMSで中国外務省と香港政府当局から宮城、岩手、福島と茨城からの避難勧告と同地域からの避難用バスの手配、帰国のためのフライト等の情報あり、と。アタシの場合、香港の携帯なのでこのSMSの対象だが中国公民ではないので保護対象なのかどうか。でも香港の永久居民では対象なのか。よくわからんがその避難勧告地域に向かふバスを待つ、とは。朝六時半に筑波巴士中心。七時発のバスに長蛇の列。七時前には百人ほど、に。常磐高速が今朝から水戸まで開通の由、で土浦〜筑波〜水戸の定期路線が再開。それでも関東鉄道が偉いのは常磐線が不通といふことで筑波〜水戸駅南口の直通臨時便は継続。しかも朝の出勤時間で臨時便は後発便まで確保といふ念のいれやう。常磐道から北関東道。この高速も行き先は「水戸大洗」と「ひたちなか」で大洗動燃、東海村と、この道路も原発道路であること。水戸市街に向かふなか家屋の塀の倒壊や屋根瓦の落下目立ち水戸駅常磐線など各線不通のうえに駅舎商業ビル、立体歩道橋など亀裂などあり一帯が立入り禁止。実家陋宅に戻る。香港出て25時間。一昨日に水道が復旧して(日立など県北はいまだ断水)少し散らかつてゐる以外はすでに普段の生活。母とお寺へ。本堂も、だが大きな庫裡の瓦落下かなり。本堂と庫裏結ぶ渡り廊下も崩壊。墓地は墓石倒壊尋常でなし。墓石が倒れただけでなく大きな石が投げ出されたように路地にある。墓地の中央に大きな地蔵あり墓参のたびに檀家は地蔵拝む習慣あり。その地蔵がしつかりと企つてゐる。さすが地蔵と拝む。倒壊の姿をば想像しつつ墓に向かうと倒壊する墓々のなかにきちんと企つ墓石あり。それが我が家のもの。倒れてもいなければ向きが変はるでもなく左右の灯籠の上部が落ちただけ。墓地のなかでも最もきれいに残つた墓の一つ。かなり劣化して見えるが祖父が拵へた墓の御影石が揺れにも強く、亡父の注文か墓石は盤石に据へてあるだけでなくシリコンか充填剤でしつかりと固定されてゐた。遠戚や知己の墓は掃墓も能はず手を合はせるのみ。商店街に出ると多くの商店が閉業。もと/\シャッター商店街化してゐたが、この地震での損害で、もう改装開店しても、と閉業する処も少なくないのでは?と母と話す。明治42年建立の三菱銀行水戸支店(現・三菱東京UFJ)は震災も空襲もそして今回の地震でもびくともせず。老舗の画廊、被害甚大な瀬戸物屋など旧知にご挨拶。中学のときのT先輩が継ぐ老舗の料理屋で昼餉。三種の定食だけ、で今日から営業再開の由。そこでグラッと地震震度5。アタシも地震は好きぢゃないが今日はガソリン供給不足で運転は「なし」となつてゐたので昼酒。揺れて「おっと……」と溢れる酒をぐいっと飲む。酔つてゐると地震も怖くない(……あとで村上湛君が「戦時下の志ん生師匠ぢゃないんですから」と)。旧家片付け、のつもりが伯父がすでにかなり片づけは驚異的。地震の前よりきれいになるのでは? ガソリン供給不足で給油所には自動車の長蛇の列。そのぶん市街地は自動車は数えるほどしか走つてをらず外を歩くような「核鈍感」もアタシも含め少ない。美容室に寄る母と別れ市街を歩き東照宮。宮内の小さな祠や狐など倒壊。宮社も柱など大きなヒビの傷となり「東照大権現」の額も無惨に割れ辛うじてぶらさがつてゐる。帰宅してテレビで陛下のお言葉拝聴。母と妹と自宅で夕食。刺身は市街で旧知の魚屋の話では築地には三陸を除けば水産品はきちんと入つてをり寧ろ時節柄か生鮮品は需要低く仲買、小売店の築地からのトラック輸送のガソリン確保こそ問題で車さへ出せれば、ださうな。テレビの津波核禍報道をば眺めてゐると「放射線はどうやって測るのか」「ベクレルとシーベルトの違い」……日本つてかういふ素人が知つてどうする?みたいなことを真剣に知つたつもり、で結局、総論としては何も判断できない社会。蔡瀾氏の指摘のように「心配が美徳」で実際にどこまで心配が正しいか、は別。放射能がナントカベクレルに急増していますっ!と真っ青な顔で報道してをいて、結論が「飲んでも全く問題ありません」ってお笑ひか。核禍は東電と政府の発表をどこまで信用するか?もあるが放射能量ではレントゲンやCTスキャンに比べ、といはれると香港の保険カバーあるゆゑの原因不明の頭痛?それぢゃCTスキャンしますか?とか抗生物質の大量摂取、大気汚染の方がずつと怖いと思ふ。まぁ「核鈍感」と嗤はれるのだらうが……それでも感染症とかと違つて被曝者の放射能は感染りませんから。
▼今日は母が演舞場の歌舞伎のチケットをもつてゐたが鉄道が不通で、さすがに筑波にバス、筑波快速鉄道といふのも難儀で観劇取消し。アタシに「歌舞伎見てくれば?」と勧められもしたが、地震片付けで帰省して歌舞伎見物では「我欲者」と嗤はれるだらう。で今回は成駒屋ご兄弟へのご祝儀、とあきらめたのですが交通難儀での参観不能には払ひ戻しもあり、とか。

セクハラ・アカハラ・イシハラと久が原のT教授に聞く。
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