富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

みどりの日


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香港の若者にHK$10万(140万円)あれば深圳で創業できると「内地の夢」を説く大公報。いくら水は甘いと誘致しても香港の彼らの中共不振はさう簡単に解消されるはずもない。下手したら一世代くらゐかゝるのではないかしら。(蘋果日報)香港の公共放送RTHKが利君雅記者の契約更新せず事実上の雇用解約。香港市役所高官の記者会見で理路騒然と歯に衣をきせぬ発言で小役人をタジタジとさせる彼女は南亞末裔ながらの流暢な広東語。香港の逆権運動で華々しい活躍をしたが中共的には社会の安定化を害する不良分子。日本でいへば東京新聞が政府の圧力に屈して望月記者を解雇するやうなもの。

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昨日の憲法記念日で全国憲法研究会のシンポヂウムで蟻川先生が講演の「跋」で木村草太先生が鎌倉での憲法講演会に招かれようとしたところ憲法学者は9条の話をするので政治的になる、といふ理由から鎌倉市が草太先生の招聘拒んだといふことに言及してゐたが、その草太先生の憲法記念日におけるコメントが朝日新聞に出てゐた。更に詳しいインタビューはこちら

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非常に常識的な解釈だと思ふのだが、かうした発言をする憲法学者ですら反政府的で好ましくない人物とされてしまふ。現政権や讀賣産経といつた御用マスコミにとつて困るのはコロナ対策での人々の外出制限など憲法の規制などなく法律でできるといはれてしまふことなのだらう。脆弱化した自民党政府が新型コロナウイルス感染をとにかく上手に使つて政府権力を強固なものにしとうと躍起(彼らはそれで国家の安定と信じてゐる)のだから憲法学者に冷静にかういふことをいはれると困る。しかも国立だの公立の大学でこんな連中の地位や待遇を保障してゐることが面白くない。
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幼いころ『ぐりとぐら』の絵本が大好きで繰り返し読んでゐた。戦後ももうパンケーキに飢える世代ではなかつたが美味しそうで動物たちがみんな集まつて楽しく食べてゐる光景がとてもすてきだつた。子どもは大人以上に動物の弱肉強食や食物連鎖に強い衝撃を受けてゐるから、この『ぐりぐら』の光景なんて肉食動物のライオンやヒョウやオオカミが、いつもなら自分たちの獲物となる草食動物や小動物と一緒に仲良くなんてウソだとわかつてはゐるのだけど。それでもこれが羨ましかつた。

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はじめて「ひたちなか」にあるジョイフル本田とか巨大商業施設のあるところに出かけてみた。東側の緑地はひたちなか海浜公園でかつての陸軍水戸飛行場で進駐軍の射爆場。こゝに来れば欲しいものがユニクロや無印から東急ハンズみたいな細々したものまで何でもあつて食事から映画まで1日過ごせるわけで週末には駐車場に入るのも大変と聞いてゐて帰省しても一度も近づきもしなかつたが今では、これほど大規模ではないが郊外商業施設がいくらでもあつてコロナもあつてか祝日でも余裕。この商業施設をちら見するつもりで出かけたのだが、さういへばあれも、これもで生活必需品の買ひ物。お昼にこのエリアを出ると好天の祝日とあつては海浜公園もかなりの人出。ちょっとドライブでもしようかと阿字ヶ浦から磯浜と太平洋岸に出て、このあたりはけして道路が渋滞するでもなく磯浜から白亜紀あたりになると岩場で潮干狩りの家族連れ。宇都宮とか前橋のナンバーもちらほら。それがそこから南に那珂湊漁港の方に走ると大変な渋滞。自動車ナンバーも大宮・川口・熊谷・所沢・川越・春日部・越谷・柏・松戸・群馬・高崎・前橋・宇都宮・長野!……と他県ナンバーが地元に対して3:7くらゐの大勢。海がない内陸地区からならわかるが相模とか湘南とか海があるのになぜわざ/\茨城へと、それほど全国最低だつた魅力度が今では高いのかとあばらかべっそん。感染防止で大型連休でも県を跨いだ外出は自粛を!と呼びかけても自分が死ぬわけでもない新型コロナでの悶々とした生活はもう耐へきれません、でなのか、この遠出。


 アタシらも一瞬、那珂湊漁港周辺に入つてしまつたが漁港から慌てゝ迂回して水戸へと戻らうとするが午後になつても大洗、那珂湊に向かふ道路はかなりの渋滞で逆方向もすでに混雑が始まり、そこは地元で田植ゑのはじまつた田んぼのなかの農業道路を抜けて水戸へと戻る。今でも稲作では祖父母に息子娘夫婦にその子どもまで大人たちの作業を手伝つての光景が何とも温かい。

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角ハイはニッカにあらず立夏なり

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夕方以降は各地から東京に向かふ高速道路の渋滞

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草森伸一『本が崩れる』を読んで愛煙の話で橋龍が出てきて久ヶ原T君とそこから無聊の物語りとなり橋龍夫人の凛々しいお姿を画像で見て神谷町(芝翫Ⅶ)の奥様に瓜二つ!といふ話になつた。いずれも賢夫人でやはりお人柄が外見に醸し出されてゐる。

憲法記念日


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変種株ウイルスの高い致死率にワクチン接種するか死ぬか、と大公報。香港で外国人家政婦=実質的にはフィリピン人がターゲットにワクチン接種強制でフィリピンの外相が偏見に基づく人種差別と徹底抗議の宜。

▼本日快晴。初めて「業務スーパー」に出かけてみた。まぁ凄い品揃へ。ここで調理済み食品買ひ揃へれば即、何ちゃって中華料理屋とか居酒屋が開けさう。香港の食料品店のやうな食材や香辛料もある。冷凍の水餃子だの予想以上にあれこれ買ひ込んで帰宅。本日は憲法記念日(社説)新たな時代へ課題を直視せよ : 読売新聞 は「憲法が制定以来、一切手を加えられていない現状は望ましい姿ではない」といふ。なぜ改憲されてゐないのがいけないのかアタシにはわからない。(社説)コロナ下の記念日 憲法の価値 生かす努力こそ:朝日新聞 は「憲法に忠実に従い日々の政権運営に生かす。それこそが首相に課された責務である」としてゐる。然り。改憲については「司令塔なき憲法改正 漂流する「安倍路線」水面下の議論はいま」(毎日新聞) が面白い。

改憲の旗振り役だった晋三の首相退任で党内論議は「司令塔不在」に陥っているのが実情だ。(略)晋三は4月22日、東京都内で憲法関連のシンポジウムに出席し「そもそも自民党は公約で憲法改正を明確にしている。それを読んだ国民が1票を入れているのだから国民投票に付すことに反対すること自体がおかしい」と訴えた。だが党内には「憲法審査会は安倍カラーを出さない方が進む」と野党が態度を硬化させるのを懸念する声も少なからずある。

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護憲派はコロナ禍で憲法に基づく生存権を訴へる。憲法施行から74年まさかこんな豊かな(はずの)時代にあつて憲法25条の最低限の生活といふ国民の権利が求められるとは思つてもいなかつた。改憲派は国防の必要性だの安全保障だの環境権だの時代に合はせ何かしら改憲の理由を見つけてくるが今は何といつても緊急事態条項の新設。それにしても、あんなに晋三が改憲色を滲ませれば滲ませるほど国民世論は改憲を否定。改憲意欲の薄いスガになつて改憲必要45%、不要44%:朝日新聞世論調査  とまた改憲が微秒でも逆転したのだから皮肉である。

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ほんの少し前なら憲法講演会で柄谷行人樋口陽一先生だつただらう。晋三のおかげで樋口陽一小林節なんて共闘すら生まれた。今回は樋口先生の席にあるのは蟻川恒正先生。柄谷行人先生もさすがに高齢でシンポヂウムで自由に語らふにはつらいところあり。用意した原稿の棒読みで口跡も良からうはずもなく何うにか聞き取るだけで精一杯。大切なことを述べてゐるのだが徳川憲法だとか、高座でいへば一瞬、脈絡からの逸脱は志ん生師匠か、と思つたがもはや観念の世界で談志のやう。講演の後の質疑応答でも自ら発言を求めて徳川家康がどれだけ世界を見渡してゐたか、といふことを三浦按針など挙げて語られてゐた。それは確かにさうだが、それが現行憲法に何ら影響があるのか、憲法記念日の今日それを何う積極的に解釈すべきなのか。ふと晩期ホロヴィッツの来日公演を聴いた秀和先生のことを思ひ出す。その思想界の老大家に対する若い蟻川先生は今の日本で憲法学では最も重要な研究者であらう。樋口先生の憲法学もさうであつたが拝聴して目からウロコとはまさにこれ、さういふ解釈で憲法がさらに磨きかかつたものになる。

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今まで聴いたプレゼンで、これほど簡単でかつ重要なこと「だけ」が綴られた1枚レヂュメは見たこともない。蟻川先生の思考が言葉として発せられるのを聴いてゐて、この方の頭脳がなんて高尚なものなのかと唖然とするばかり。自民党が、讀賣新聞が、戦後否定社中が「権利ばかりで義務がない!」と叱る現行憲法に実は、その個人の権利を護るために何れだけの義務が求められてゐるか。公共の福祉は国家が制する規則ではなく他者の権利を尊重するためのものであること。よって国民は(人々は)国家に制約されるものではないこと。ちなみに蟻川先生の講演で「跋」は何かといふと「今日は憲法9条には触れずに憲法について語らせていたゞきました、といふのも」と憲法学者憲法を語ると9条のことに触れて政治的になるので、それを避けるべきと叱られることもあるやうで……と、それがこれ。憲法記念日の講演に憲法学者・木村草太起用鎌倉市「9条に言及する懸念」で拒否:東京新聞 ネット中継を見てゐて思はず大笑ひしてしまつた。

蟻川恒正:菅首相が好む絆 「権力者がめざすものでない」(朝日新聞)20210427

「絆」は身内にとっては心地よいこともあるけれども身内の外の者には抑圧的に働く。首相の長男までもが関わった違法接待、安倍政権下の森友・加計学園問題も権力者との「絆」から生まれたもので。一方、権力者との間に「絆」を持たない人々は日々コロナ禍に苦しんでいる。「公共社会」とは一人一人が等しく尊重されなければならないという考えの上に成り立つもの。「絆」は「公共」に責任を負う権力者が「めざす」べきものではない。「公共」を支えるのは、憲法が掲げる個人の「人権」。「人権」は権力者との距離とは無関係に誰に対しても保障しなければならないもの。それは身びいきを許さない厳しさを持つ「絆」とは対極にある考え方。「絆が大切」と言われると「なるほど」と納得してしまいがち。しかし、それを権力者が言い出すとき、立ち止まって考える必要がある。憲法を考えるとは、そういう作業でもある。(蟻川恒正)

春の天皇賞


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インドでの感染拡大が報じられる前に香港ではインド戻りの男が市中で感染ばらまきとかフィリピン人家政婦から傭ひ家で感染などと大きく報じられてゐたがいずれも変異株だつたと香港大、理工大の研究機関が発表。本当にこの「武肺」の新型コロナウイルスというのは何なのかしら。これが実は化学兵器なのだ、とか実際にこのウイルスは存在しない、とかさういふ発想は一般的に「陰謀論」と呼ばれるが、いずれにせよ我々は何も真相などわからないことが多い。911の米国多発テロ、オサマビンラディンとは何者だつたのか、依然として行方不明のマレーシア航空機、ダイアナ妃死因……事件の背後にいつたい何があるのか。今回の「武肺」が何うであれ「世界大戦の代替」になつてゐることだけは確かだらう。もう何年も前のことだが某大手商社のそれなりの立場の人が「そろそろ戦争にならないと」と冗談だと思つたら真面目顔でさう口にしたのをよく思ひ出す。その時はたゞ驚いただけだつたがよく考へてみると「平和」つまり「戦争がないといふ非常時」が続くと経済が停滞しがちで富が特定の場所に鬱積してしまふ。戦争によつて戦後に新しい社会システムが求められ硬直してゐた経済もリシャフルされて景気が刺激され新しい需要が生まれ……これはトマ=ピケティが『21世紀の資本』で明らかにしたことに繋がる。昨年からの、この疫禍にあつて社会システムが大きく変はり人々の生活様式や経済活動もコロナ以前の社会と違ふものになるのだとしたら疫禍は十分に世界大戦に代はる役割を担つてゐるんもかもしれない。この疫禍を誰かが、どこかの秘密結社が操つてゐるのか(少なくても失点続きの電通ではないw)何か背後にあるのかなど知らないが、何うであれ「期待されるだけのインパクト」があるのは事実だらう。

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春の天皇賞。今年は阪神での芝3200mで1番人気はディープボンド、それにアリストテレス、ワールドプレミアが人気。カレンブーケドールが牝馬天皇賞制することができるのか。全く頭の整理もできないままワイドくらゐしか馬券は買へない。1、2番人気を外してワールドプレミア、カレンブーケドールとユーキャンスマイルと3〜5番人気でボックスに。カレンブーケドールがかなりタフな走りを見せて最終コーナーで先頭にも立つたが福永のワールドプレミアが外から一気に張り出して、阪神大賞典圧勝のディープボンドが底力を見せて1、2着。競り落とされたカレン3着はそれでも見事な走り。結果1、3着のワイド的中🎯であつた。このレースについて翌3日の新聞(日刊スポーツ)で坂口正大・元調教師が鋭い分析をしてゐる。天皇賞(春)で例年の京都と今年の阪神の違ひ。それは「内ラチが途切れるかどうか」。京都の外回りは内回りとの合流点でラチが途切れ、加へて坂の下りで外へ振られるため直線では馬群がバラけて内でじっとしてゐても必ず進路ができる。一方の阪神は(1周目が外回りで2周目は内で2周目は)ずっと内ラチがあり、じっとしてゐると内側の馬は包まれる可能性がある。福永騎手は2周目の向正面で外と後方を確認して(1枠の)ワールドプレミアを早々と外へ導き……の見事さ。京都なら絶対にしない内から外への移動であつた。なるほど。
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天気がかなり劣化していやな風が吹き初め西北から黒雲が現れ夕立となり雹も降る。天気予報ではこんな雨の予報もなかつたので自転車ででかけてしまひ出先で用事が済んでも建物の軒下でしばらく雨宿りすることになつたが雨も弱まり強烈な西日が照り始めたので軒から出てみると、なんとも大きな虹が出てゐて、それがぐるりと東の空に弧を描いてゐるではないか。しかも「ダブルリング」といはれる虹。こんな色もはつきりとして間近に厚い輪の虹をみたことはこれまでなかつた。

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草森伸一『本が崩れる』の続きを読む。第1章(本が崩れる)に続く章も本が崩れる話から始まる。今度は寝ているときで地震。311をすぐ想像するが、この時は新潟の地震の余震。高所から降り落ちてきた書籍を半ば無意識で手で払ひ退けるのだが、それができたのは……と自分が少年野球をやつてゐたときのことになり戦後の草っぱらの民主主義、そして戦前の幼いころに受けた修身のやうな道徳教育といつたものに思考が至る。まるでその書架に囲まれた狭い寝場所で本に埋もれたまゝでの思考のやうに随筆が進むのだから、これも随筆の実験だと思へる。そして終章は喫煙にまつわる話。缶ピースを日に60本も吸ふ伸一さんが荷風の戦時中のタバコ話など語り吉田茂の葉巻から当時の橋本首相の愛煙(この随筆には書かれてゐないがチェリー)と政変での青木氏の不愉快さうな煙にまで話が及ぶ。これもタバコを題材に随筆の実験なのだが、この随筆の展開は最後、伸一さんが深夜にタバコが切れてコンビニに買ひに出かけやうとしたらマンションのエレベータの中で見知らぬ若い男女が性交に及んでゐる現場に遭遇する。予想だにしない展開だが愛煙に対する話としてはとんだ破綻になつてしまつた。これはこれで破綻したことが面白いのだが。

水戸散歩(吉田から城東へ)


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大公報と蘋果日報両紙が1面トップで同じネタのときは報道される事実が先づ間違ひない時で月に数回ある程度だが今日のはそれで香港の外国人家政婦37万人に対して9日まで(つまり1週間)で全員にワクチン接種強制。外国人家政婦(二等市民)の健康を守るといふより雇主家族(一等市民)の防疫が目的で、この(おそらく国産ワクチンなのか)接種強制の是非も考へないといけないが少なくともやらうと思へば、この迅速さでワクチン接種できてしまふのか。それを思ふと日本の遅々とした対応が何とも。行政も実際のワクチン接種よりもワクチン接種に関はる(他国では無駄と判断されるであらう)庶務ばかりに時間と労力を浪費。マスコミもいつまでも何うすれば感染防止できるか、緊急事態宣言での不便は、感染防止のためマスクは……と通常で考へれば感染拡大の当初一か月しか賞味期限のないやうな「ニュース」垂れ流すばかり。こゝまで感染対策に無策であれば常識的には政権運営能力ナシ!と判断され首相交代だが他の誰がやつても同じでスガの責任も問はれず。昨晩の荻上チキさんのラヂオで青木理氏が政権を一言でいへば「無能」と言ひ放つたが感染第1波から第4波で良くも悪しくも「経験」を活かせず、どんどんひどい状況に。スガの5本の柱はどこにいつたのか。飲食と観光産業を締めつけるだけ。東アジアの国と比較評価したら成績表はオール1。とんでもない状況にあるなかで改善のための「検証」が事態が落ち着いてから、と。さういふ最悪の事態を招いたときのために執行部の交代(政権交代)がされるべきなのだが、さういふ政治状況を築いてゐない国民にも責任がある、と。御意。

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もう5月。感染終息しないどころか状況は悪くなるばかりで今年も3分の1が過ぎてしまひ、カレンダーをめくると陋宅では銀座渡邉版画舗の巴水カレンダーを掛けてゐるのだが、それの2か月分を剥がすと捨てるには勿体ないので丁寧に切つて四季折々とつてあつて、それを額に入れるのに手頃な額がなくて(以前のものはだいぶ傷んで香港で処分してゐた)それをホームセンターに買ひに向かふのに昼少し早めだつたが蕎麦の「みかわ」で日に25食だか限定の「こだわり手挽き石臼十割そば」をいたゞく。

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さすが水戸だ!@ヨークベニマル水戸笠原店
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天台法(華円宗)吉田山(神宮寺)薬王院

水府の櫻川と千波湖の南の吉田台地で吉田神社から薬王院まで谷の緑地が続いてゐたのだが自動車道拡大と宅地商業地開発の結果、緑地が無惨に分断されてしまつた。

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画像(左)は昭和61年の国土地理院航空図

吉田神社は(上の画像で)右肩(東北)緑台地が突起して見える場所にある。遠くに那珂川の向かふに勝田(ひたちなか市)の大地を見渡す、建物がなければ昔は東に太平洋まで望む絶景の地。今の水戸市街よりも江戸以前はこのあたりのほうが開けてゐた。

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ヤマトタケルが東夷平定の帰途、常陸を過ぎて兵をこの地朝日山に留めて憩わせた故事を以つて、この地に神社を創建し尊を奉祀したのだといふ。神社創建の年紀といふのはよくわからないが、この神社の古文書によれば正安4(1301)年が創建から八百余年に当たるさうで逆算すると顕宗天皇仁賢天皇の御代の間で西暦485〜498年なんださう。当時、東国のこの地に神道が定着してゐたとも思へないが時代はずいぶんと経て承久4(1193)年に後鳥羽天皇常陸国司に勅して社殿改造させたといふ記録もあるのだとか。そんな由緒ある神社で境内の敷石をハートマークにしたのは神官なのか巫女なのか。

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水府市街で「城東」は文字通り水戸城から東を見下ろした平地で城下町が形成され賑やかだつたところだが、ここに横綱常陸山横山大観の生誕の地が目と鼻の先にある。

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大型連休も始まつてはゐるがコロナ以前に人出のあるときに出歩く趣味もなく天気もあまり良くないやうで自宅に籠つて読書に限る。今日は夕方から天候が崩れ風も強くなつた(瞬間最大で16m)。

偶然にONにしたテレビ(NHK-BS)で冬の屋久島を映してゐた。亜熱帯に位置する屋久島に雪が降るとは。宮之浦岳は標高1,936mで九州最高峰。さきの厳冬では雪が1.5mも積り樹氷すら見られる。日本でこんな雪の絶景はこの屋久島が南限なのだが昔はもつと南、台湾の新高山(玉山)だつたことを思ひ出す。 

草森伸一『本が崩れる』


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香港で変異株のウイルスがフィリピン人家政婦から雇い主の幼児に感染の由。(いはゞ二等市民で優遇のあまりない)外国人家政婦に対するワクチン接種の声が高まる。(蘋果日報)余暇に政治風刺漫画を描いてネット上に公開してゐた教員が教員資格剥奪の刑。さういふ反政府的な思想信条の者に公教育など任せるわけにはいかない。愛国愛党の偏向教育を信奉しなければならない。


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水戸ではCroute(仏語でパンの皮の意)といふパン屋の食パンがとても美味しい。今日焼けた生のパンの上にポテトサラダをのせて。パンの味がふくよか。コンビニデザートも侮れない。今日、牛乳を買いに寄つたら同じタイミングで入店したおばさんがスイーツコーナーで何か探して「あったー!」といはんばかりに買つてゐつたのが「たっぷりクリームのダブルシュー」なるスイーツで騙されたと思つて買つてみたが確かに美味しいわ。

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日光金谷ホテルの30数年前と今

昨日この日乗に残した睦朗さんの語りのなかに出てきた草森伸一(1938~2008)がふと読みたくなつて随筆『本が崩れる』を読む。数万冊の書籍に侵されたマンションで廊下の隙間から風呂に入らうとして廊下の本が崩れて浴室に閉じ込めるアクシデントから「随筆」は始まる。今はこの本は中公文庫から出てゐるやうだが元々は文春新書。なぜ随筆が新書なのか?と違和感があるが、それは読み進めると「これは随筆という形式の実験なのだ」とわかり妙に納得。風呂場に閉じ込められてゐる間だけでも思考の変遷が可笑しいのだが風呂からは無事に出られたものゝ話は終はることなく秋田でのシンポヂウムのことになり吉田健一や秋田での篤胤や種臣の体験……となる。とにかく思考の展開が面白い。そしてこの人の筆致。随筆といふものが一般的には短く肩の凝らない内容と思はれてゐるが、それが長文で思考的試行のやうに続く。

随筆といえば『枕草子』や『徒然草』を人はすぐ想いだすので、短いものと決めてかかっているが、あれらは中国流には「雑記」「小説」に属すというべきだ。そもそも「随筆」に短いも長いも、あったものではあるまい。私は、この原稿を「蔵書にわれ困窮すの滑稽」をテーマにした「百枚の随筆」として書いている。「百枚」というのも、とりあえずの目安としての仮の枚数の意である。

見事としか言ひやうがない。アタシも蔵書癖があつてとにかく入手しないと気がすまない(それでゐて読み進まない)だつたのだが書籍がどれだけ陋宅の床面積と空間を占有して、それが転居などどれだけ大変なことかは痛感したので数年前から書籍購入は随分と控えるやうになつた。香港から運んだ書籍数十箱はまだ整理もできないまゝ実家に置かせてもらつたまゝ。これも整理しないといけない。それで昨年水府に居を構へるときに住み場所の一つの条件は「市立図書館に近い」ことで幸はひ中央図書館から歩いて数分のところにマンションをみつけたので今では図書館の書架が全部自分のもののやうなつもりで読書生活となつた。

随筆-本が崩れる (中公文庫)

昭和の日


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中国武漢に端を発し米国、ブラジルと感染拡大で深刻な感染はインドに。インドはワクチン開発する先端技術と底なしの貧困社会の同居。人類の文明発祥の地の一つで最終的に人類社会の姿がこゝにあるのかしら。

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天安門事件翌年1990年からヴィクトリア公園で開催されてきた六四集会は昨年感染拡大を理由に香港市役所を認めずヴィ公園の敷地は閉鎖されるなか強行突破した市民が追悼集会。すでに国安法施行が予定されてをり国安法前の最後の六四集会となつた。

それが今年は強硬開催の場合、国安法で明らかに不法集会扱ひとなる。

文學界(2021年5月号)

畏友久が原T君より『文學界』と『現代詩手帖』いずれも5月号に高橋睦朗さんの対談が出てゐると聞く。前者は谷川俊太郎さんとの「対談」なのだがタニカワシュンタロウが睦朗さんの最愛の聞き手として睦朗さんの心と言葉を自由にする。 睦朗さんの、文字面では「衝撃的な」性的告白(それは今日は偶然に「昭和の日」だが自由で大胆で陰翳が強烈で何て劇的な時代だつたのかしら)に普通は驚いてしまふかもしれないが、大切なことはそれではなく、高橋睦郎といふ人の世界観そのものの告白。それが谷川俊太郎を介することで明らかになつたのだらう。アタシは小説もほとんど読まないので『文學界』だつて近くないが『現代詩手帖』となると詩なんて感受性が絶対的に乏しいアタシには遠い世界。水戸市の常澄図書館に『現代詩手帖』があるやうなので今日は「昭和の日」で雨がひどかつたが自動車で出かけてみる。水戸から大洗に向かふ国道51号線で途中の旧常澄村の村役場の建物が常澄地区の市民センターになつてゐる。こちらは詩人・藤井貞和氏との対談「日本語詩歌の深層について」。

現代詩手帖2021年5月号(雑誌)

こちらは、まさに現代日本代表する二人の詩人の「対談」でコトバについて、そのチカラを深層まで探つてゆく。時枝国文法から大野晋の世界。それでも突き詰めればオリクチワールドとなる。そして中国語の漢字世界について。

(睦朗)ぼくは十年前にさっさと逝ってしまった草森伸一*1に若いとき聞いたことがあるんですよ。いまの中国語の言葉自体が……簡体字の問題ではなく……助辞みたいな言葉がいっぱいあって、ぼくらが漢詩で読んでいる言葉とぜんぜん違うじゃありませんか、これはどこでこういうふうに変わったのって。そうしたら、いや、口語はむかしからあのとおりだったと思う、それを整理して文語として作ったのが漢詩漢文のああいう文体だったんじゃないか、というふうに彼は答えてくれた。そうだとしたら漢字自体のなかにも詞と辞に近いものがあったということですね。最初に『万葉集』の文字づかいに関わった重要な人が柿本人麻呂だったというのが本当ならば、そのへんのことを知った上でやっているなと……。

(貞和)万葉の表記が漢字かな交じり文ですよね。その発明、発見のルーツは朝鮮半島と思いますけれども、それから千何百年ずっと続いて、現代に生きている。その〈詞と辞〉の関係構造を明らかにしようとしたのが時枝です。時枝がたった一人でそれをはじめたときに、周りは欧米的な言語学で凝り固まっているし、一方ではソビエート言語学が入り込んできて、時枝をボコボコに……(以下略)

なんて刺激的な対話なのかしら。この漢語、漢文の詞と辞、音意の強弱についてインスピレーションのやうに感じてしまつた睦郎の凄さ。音の意味としての、或いは意味の音としての強弱。これがわかると中国語は楽しい。それを最近も中国語に関する本を上梓された畏友に話すと「わかろうとする人はわかることができる。でもそれには本当の意味での教養が必要なんですよね」と。御意。ところで、この漢字の詞と辞、音意の強弱がわかるかわからないかで書も違つたものになつてくる……といつたことを指摘してゐたのは石川九楊先生であつた。

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ふだん詩など全く読まないものだから、たまには、と思つて読んでみたが藤井先生の詩は読んでゐるうちに脳内が筒井康隆になつてしまつた。
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お昼になつて内原図書館を出るが雨がひどい。元々は常澄村役場の建物なので小さいながらも車寄せがあつてありがたい。家人をそこに待たせて車をもつてくるほど。水戸市街の方に戻る途中の浜田に浜田屋といふ美味いラーメン屋があり、そこに寄つてタンメンをいたゞく。昨年10月末に日本に戻つてきた家人を迎へに成田空港に行く途中に寄つて以来。あれからちょうど半年。

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こゝから近くの櫻川沿ひに田村といふ川魚店があることを聞いてゐたので折角だから寄つてみよう。そこは櫻川が那珂川に合流する手前で川魚がよく獲れるところなのだらう。今では那珂川も天然の鰻など稀だが昔は、この川魚店など桶に那珂川産のウナギがぬめぬめとたくさん泳いでゐて書ひ求めにゆくと、その場で割いてゐたといふのだから。


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疫禍で大雨とあつては客も私らだけ。今日は鰻の白焼きがあるか何うか。白焼きは無事手に入れたが注文が入つてゐればちゃんと用意できるわけでお店の方は「電話してから来てくれれば、不定休だし、用意しておけますから」と仰る。

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櫻川岸のその店は「本店」とあり、それなら支店もあるのかと思つたら櫻川が那珂川に合流した先の河岸に「支店」があつて、こちらは今は小売営業はしてゐないやうだが漁船が着岸できる埠がありクレーンのついた船塢(ドック)まであるとは。今の季節はウナギだけのやうだが秋には那珂川に鮭が遡上で日本で鮭の遡上はこの那珂川が南限だとか。水戸藩から江戸の将軍に「献上鮭」もあつた。店の駐車場の看板には「藻屑がに」とも出てゐたが、これは晩秋。それにサクラマスなんて今では何なのかしら、天然のものがこのあたりで獲れるのか。

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鰻はタレをつけた蒲焼も美味いが、あそこまで味が濃いと白飯と一緒のほうが美味しくて鰻だけならアタシは断然、白焼きが好き。

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*1:草森伸一の死去は実際には2008年のこと。

農暦三月十七日


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必要に黒暴(泛民主派とも呼ばれてゐるのだが)の活動資金疑惑を叫ぶ大公報。蘋果日報が報じるは飲食店でスタッフのワクチン接種具合と利用者の安心アプリでの等級区別で集客のレベル分け。社会信用系統の利用が確実に義務づけられてくるのかしら。

再選挙で問はれた「政治とカネ」の問題は安倍、菅ら選挙戦略に起因。だが敗北に対し一部の党幹部から「菅政権のダメージではなく岸田氏のダメージ」などと責任を岸田氏に押しつける声が上がる。……「党幹部」は二階? 岸田も岸田で敗北について「結果を出せなかったことは申し訳ない。それに尽きる。それがどう評価されるか、これは関心を持って見ていきたい」って当事者が関心を持つて見てゐて何うする? このヒトがトップになれない弱さが、これか。

「塵も積もれば」でバカにしてはいけない研究かもしれないが東アジアのメタン放出の9割は中国。そこを何うにかしないと。パッとしないスガ内閣の乏しい政策の中で地球温暖化対策は重要な柱。温室効果ガス排出を(2013年度比で)46%に削減する目標。それに小泉環境相が46%について「くっきりとした姿が浮かんできたわけではない。おぼろげながら浮かんできた」と発言。父上がかなり真っ当に思える息子の奇人変人ぶり。

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外国人にルビつき日本語と英語で日本を紹介する〈ひらななタイムズ〉は日本語勉強するための雑誌なのだが特集記事「政治家と官僚は政界のピエロ」が熱い。政治家による権力不正や官僚の忖度について歯に衣きせぬシビアな言及。たゞこのタイトルからすると政治家も官僚もピエロを演じる政治家とは別の〈政界〉があるのか、となるが。また5月号なので日本国憲法の記事もあり。しっかり憲法基本的人権個人主義と平和主義を説明で明らかに護憲の立場だ。

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今市の渡邊佐平商店のきざけ日光譽を飲む。かなり味のしつかりした生酒でどの食事に合はせやうかと思つてゐたが大根おろしと韮の鍋で豚肉のしゃぶしゃぶで。

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なぜこのご夫妻を見ると心が落ち着くのかしら。