富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦正月初十


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遅ればせながらワクチン接種開始で接種促す大公報。蘋果日報は疫禍での香港-深圳間の往来自粛のなか深圳から刺身や海鮮など夜な夜な香港に持ち込まれ不衛生なまゝ街路の屋台で売られゐるといふ。

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台湾出身で日本に帰化したご婦人から今年の春節蔡英文総統揮毫の春聯(印刷品)を見せられる。あまり練習したわけではないが自信のありさうな草書。

縁起のいい言葉で新春をことほぐ春聯に書かれたのは四字熟語の「扭轉乾坤」(逆境ヲ覆ス)を捩つた「牛轉乾坤」の四文字。Kolas Yotaka (グラスユタカ)報道官によると「牛転」は「扭転」(逆転)と同音で「国民の団結によって新型コロナウイルスの危機を乗り切った台湾」を象徴しているといふ。

もうずいぶんと昔になるが連戰が大陸訪問でのお粗末な揮毫にどれだけの台湾人が恥ずかしく思つたかを思ひ出す。

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ところで長野冬季五輪のときに小澤征爾指揮・新日本フィルで表彰式用にこんな国歌集が録音され、しかもCDで販売されてゐたのを聴いた。


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▼「忖度政治」の行き着く先「首相長男接待の何が問題なのか」毎日新聞 https://t.co/z2qejidmvw 晋三の「妻は別人」、スガの「息子は別人格」……忖度政治の行き着く先

菅首相はどのように説明しているのだろう。文春の報道が出た3日夜、首相は官邸で記者団に「私自身全く承知していない。総務省で適切に対応すると思う」と述べ無関係であることを強調した。4日の衆院予算委員会では「今は(長男は)40ぐらいですよ、もう」「(長男と)私、完全に別人格ですからね」と色をなして反論し長男の行動を関知していないと繰り返した。

このやりとり、既視感があった。安倍晋三前首相の妻・昭恵氏が名誉校長を務めるなど近い関係にあった学校法人森友学園に国有地を安く売却した疑惑で前首相が昭恵氏を「私人」だと言い募った件だ。当時昭恵氏にはお付きの政府職員が何人も配され職員を通じて国有地売却に関する照会を財務省に行ったりもしていた。菅首相は今回「別人格」という言葉で「赤の他人で無関係」と言いたかったのかもしれないが、それなら総務省幹部はどの業者からも分け隔てなく接待を受けるのか、と直ちに疑問が湧く。

筑波あり東歌あり春の月


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公共放送・香港電台(RTHK)への施圧どころか徹底した組織と運営の「健全化」。RTHKは英国のBBCに倣ひ政府の公費負担ながら政府権力から独立したスタンスにあり主張は自由であつた。それが中共には気に食はない。董建華がまずRTHKや香港大学の自由闊達なリベラリズムを厭ひ圧力かけ始めたが、それでも昨年の国安法施行まではRTHKなど過剰とも思へるほどの毒舌で政府罵倒してゐたのだが政府に批判的だつた番組は全て打ち切りで反政府的な職員は更迭といふ脱胎换骨。

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香港人口減少過去最大 コロナ禍・国安法響く:朝日新聞

香港の昨年末時点の人口が前年より0.6%少ない747万人となり1961年に統計を取り始めてから最大の落ち込みとなった。コロナ禍による流入の減少に加え香港国家安全維持法国安法)の施行で外国への移民が増えたことなどが背景にありそうだ。18日発表の政府統計(速報値)によると昨年末の人口は前年から46.5千人減少した。人口が減ったのはアジア経済危機後の景気悪化が続いていた2002年に続き2度目。

0.6%とはいへ人口増が常態の香港にあつては、この減少は驚かされる。しかも住民票といふものがないので昨年4月から来日したまゝのアタシや秋に香港離れた家人はこの減少に含まれてゐないはず。アタシが知るだけでも顔本を見てゐるだけでもかなりの数の知己が香港離れ旅居のまゝで実際の香港の人口減少はもつと大きいと思はれる。

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朝晩は水府でも零度か氷点下まで寒くなるが昼はもうけっこうな陽気。お軸や壁の絵画、短冊なども冬のものだつたので春に。本来は立春でこれをやつてをかなければいけない。銭紹武先生書の孟浩然「春暁」のお軸、額は笠原紫浪の東京八景で上野東照宮の桜、短冊の句は高浪といふ俳号は祖父の俳句仲間か「筑波あり東歌あり春の月」。和室の床の間が引っ越し以来、物置になつてゐたのでかなり整理。それでもまだいくつか物を置きすぎ。だがエルメスのタイプライターは違和感がないのがおかしい。


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Tさんが煮た小豆を母経由で分けてもらつた。あまり甘からず上手な煮方で小豆の風味もじつに良い。和室の片付けを終へお昼に餅を茹で善哉でいたゞく。春の陽気で午後、ヤフオクへの放出品を発送するのにコンビニに出かけ南町1の木村屋本店で購入の生菓子「香梅」。家人に「さういへば<水戸の梅>はお人に送るばかりで何十年も食べてゐない」といはれアタシもさうだつた。さすが木村屋のものは上品な甘さで美味。アタシの好きだつた老舗・井亦(いづまた)のものにとても近い。

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今日の朝日新聞夕刊より。やっぱり戦後の日本建築の最優秀賞かしら。幼いころ父親がNHK放送センターに連れてつてくれて「ひょっこりひょうたん島」とかの展示も楽しかったが放送センターから出て、この体育館を仰いだときはオシッコちびりさうなくらゐ感動したっけ。色あせぬ曲線美:朝日新聞

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(惜別)小松政夫さん コメディアン:朝日新聞

すべてのギャグにモデルが実在し「あんたはエライ!」もそうだった。戦後30年近く南国の密林に潜伏した元日本兵にやっと再会した老母が空港で放った第一声だ。徹底した人間観察眼が時空を超えて語り継がれる笑いを生んだ。昭和のちびっ子たちが茶の間のこたつの上で跳びはね親に怒られたのは、この人のせいだった。「喜劇とは髪を振り乱し大汗かいて最後にホロッと泣かせるもの」。口癖の通りに日本中を沸かせ涙を誘って旅立った。

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農暦正月初八


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 来週後半から香港でも中国産ワクチン接種。これで中共に順応する香港市民増か。蘋果日報社主ジミー黎智英の保釈申請拒否。「また国家安全に危害加へぬと信じられる十分な理由がない」といふ判決。また殺人を犯さないか、とか麻薬でラリパッパーで無差別柵人とか、さうした案件でも仮定で判断が求められるが少なくとも具体的にヒトや社会に明らかな危害を加へる危険性が高いと判断されるわけでジミー黎智英が国安に対しては具体的に何ういつた危害加へたのか証拠もないまゝで余りにも冤罪感が強すぎはしまひか。中共は具体的な証拠を明らかにすべき。

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播州O氏に久慈の酒「合烈」送つたらお返しにと播州といへばで龍力のドラゴン某といふ酒を贈られた。吟醸酒はまず飲まないが実にしつかりとした風味。

大竹しのぶ「まあいいか」294回「何のために選ぶの?」朝日新聞

誰のためのオリンピックで何のためにするのか。それには誰がリーダーになるべきなのか。それを今ごろ話している日本。ちょっとお粗末すぎないだろうか。

 御意。お粗末すぎる。世界中が「日本はこんなものだったのか」と呆れてゐる。

週刊文春


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獄中にある蘋果日報ジミー黎智英社主別容疑で再逮捕。同氏と国家転覆共謀だかで当局に目をつけられてゐた助手の逮捕逃れ幇助だとか。黎智英保釈させぬために一つでも罪がほしいところか。 

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 今日発売の週刊文春。「文春砲」4連発。普段週刊誌も読まないが図書館で読めた。

  1. スガ長男と総務省の衛星放送疑惑では文春が執拗にも、その料理屋で他人客然と彼らの会話内容まで録音。これの公表でさすがに総務省官僚は今日の国会で自民党通信族議員に関するコメントは「私の音声」と認めたが放送事業に関しては「記憶にない」とシラを切る。やはり密談は赤坂とかの料亭の密室でしなければいけない。他の客がゐるところでといふ脇の甘さ。
  2. 自民党代議士の懲りない夜の繰り出し。さっと自民党離党、次期選挙に立候補せずとしたのは、まだ報じられないお遊びの中身がよほどお下劣だつたのだらう。
  3. 今日、東京五輪組織委会長は橋本聖子となつたが森喜朗から蹴球川渕への禅譲は密室と非難され橋本は森子飼いなのに女性だから良いのか……橋本は女性だが高橋大輔への酔ったらブチューの接吻ぢゃ「おやぢ」だろ、セクハラ具合が。
  4. NHKではスガを怒らせた有馬キャスターと二階に睨まれたクロ現+の良識派・武田記者の降板。すべて自民党絡み。文春は保守といはれるが保守=自民党ではない。

少なくとも保守には保守の矜持といふものあり。その矜持のなき今の自民党……がなぜかうも強権安定なのか。

阿部潔「東京オリンピック 世論の支持が消えたわけを社会学から考える」毎日新聞

五輪の高い支持率を支えていたのは大会理念への信奉や経済効果への評価といった「積極的な賛意」ではなく「五輪は“日本にとって”何となくいいものだ」という漠然とした予感と期待に過ぎなかったのではないか。

この予感と期待には、ナショナルな一体感や共感を求める時代の情緒的な気分が関係していたように思う。世界的なイベントである五輪を開催して「ニッポンってすごい!」という機運が生まれれば「みんな=私たち」も心地よくなれる。それはソーシャルメディアで「いいね!」を押し合うことで互いに自己承認が得られる感覚と共通しているように思う。

森永卓郎「オリンピックがコロナ対策を狂わせた」毎日新聞

政府はなぜ川淵氏の会長就任を拒否したのだろうか。(略)

川淵氏は森前会長から後継指名を受けた2月11日に記者からの問いかけに「会長は東京オリンピック開催の可否について判断しなければならない」と答えた。森前会長は「開催の可否を検討するのではなく開催のためにどうするのかを検討する」という立場だった。また川淵氏は「観客がいなくてオリンピック、日本でやる値打ちあるの?海外でやるのと同じ」とも話している。無観客開催でテレビでみるだけなら日本でやる意味がないというのは多くの国民が共感する「常識」だ。その常識を語った川淵氏を引きずり下ろしたということは裏返せば「政府は無観客でもオリンピックを開催する強い決意を固めている」ということだろう。

国際オリンピック委員会IOC)は、収入の7割をテレビ放映権料が占めているから無観客開催であっても開催したい。国内でオリンピック利権を持つ人たちも立場は基本的に同じだ。一方、無観客でも世界から選手団を集めれば東京で新型コロナのクラスターが発生する可能性は少なくない。リスクは大きいのだ。ところが、政府は何が何でも7月に開催したいと考えているようだ。私は、そのことがコロナ対策の失敗にもつながっているのではないかと考えている。

(戦後76年)戦争体験者の証言 「肉弾三勇士」美談の裏の涙:朝日新聞

爆弾を抱えて敵の鉄条網に突っ込み命を落とした21歳の若者3人がいた。「肉弾三勇士」は自己犠牲の美談として伝えられ上官もたたえられた。しかし戦後見つかった上官の日記には部下を思う後悔の念がつづられていた。

突入を命じた上官も英雄としてもてはやされた。佐賀出身の伍長、内田徳次。地元の人々は「内田徳次の名を出せば、旅行先でも皆がよくしてくれた」などと、うかれていたという。

 この「地元の人々」のあっけらかんこそ軍国主義の本質だらう。

大阪万博と歓喜團


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香港では夕食時の飲食店営業が再開で1卓4人まで。新年の開飯で飲食店も爆満の由。香港でのワクチン接種は日本並みに遅れてゐるがワクチンが中国製でWHO未認可なことを憂ふ蘋果日報

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久ヶ原の茶人T君からヤフオクにこんな大阪万博茶碗が出てゐると教へられてた。お茶の世界でもさういふものを作つて浮かれてゐた時代。竜仙で当時、かなりの数が作られたのであらう記念品。三波春夫は♪今日庵今日庵、世界の国から~♪と歌つたと畏友J君、その話では数日前に今日庵の大宗匠が筑波海軍航空隊記念館に来られた由。同じ特攻隊での生き残りは俳優の西村晃と大宗匠のお二人だけ。閑話休題さて、こんな茶碗にどんなお菓子を合はせようかしら。

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大阪万博といへば岡本太郎岡本太郎といへば縄文の時代。縄文みたいなお菓子ないかしら?……でふと思ひついたのが京・亀屋清永の歓喜團。昨年末に南座顔見世に上洛の折、祇園で亀屋清永は寄らずとも店前を通つて歓喜團が印象にあり。薄茶はT君にいたゞいた京・柳櫻園のお抹茶。素人茶ながら、この茶碗もお抹茶もT君由縁ゆゑ今晩は素人茶ながら不審庵に倣ひお茶は泡泡にせず一服してみると点て方でずいぶんと味も香りも違ふものだとわかる。歓喜團もじつにエキゾチックな風味でぞく/\とするほどだつた。

▼日本で最初にワクチン接種受けた東京医療センター院長曰く「痛くなかったですね、ホッとしました」。まじか……最初の専門家のコメントがこれか。ワクチン接種開始で日本医師会会長曰く「これまでの守りから攻めに」。この国は本当に大丈夫か。

東京五輪のコロナ対策73億円「神アプリ」で論戦|TBS
東京五輪のコロナ対策アプリ開発費用は73億円。大失敗した「ココア」費用の2倍。スガはこの費用がいくらか知らず。東京五輪中止の場合もすでに開発で、この費用は発生するのだらう。TBSラヂオの荻上チキで引用されてゐた毎日新聞の記事。

コロナ時代の五輪学① 石坂友司・奈良女子大准教授(歴史社会学)毎日新聞

東京大会で掲げられた「復興五輪」はいつの間にかどこかに行つてしまい「コロナに打ち勝つた証し」に。何が何でも開催するといふ首相、大会組織委員会会長の発言が古い体質の利権優先主義を代表する存在としてとらえられ五輪の理念が「絵に描いた餅」と感じられる。そもそもワールドカップは直に特定のスポーツの世界大会で盛り上がるのに五輪だけは別に意義づけがされるのか。

五輪は創設当初から資金難の連続だったが立ちゆかなくなったために取り入れた商業主義によって崇高な価値を持った五輪がゆがめられたという議論が始まるとブランドを守るために国際オリンピック委員会(IOC)は新たな価値観を創出しようとする。90年代からは「環境問題」に配慮するようになり、その後に生み出されたのが今も続く「レガシー戦略」で2003年に五輪憲章に織り込まれた。五輪が何をもたらすのかという観点が問われた開催都市によるレガシーの創造や構築を通じたブランド戦略は都市開発、再開発に正当性を与えることにもなった。

まさにこれって「電通的」だよね。それの破綻。

海南岛的回辉人


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初詣の群がりが感染の即時爆発のリスク高いなら工事現場の食事場所も防疫ができてゐないと。基本的に人が群がれば感染の可能性高くなるのは当然で昨年の欧米や中国で実施した就労もせぬロックダウンでモナカれば今のやうな経済活動があるのだから初詣や工人食堂ばかり非難できないだらう。日本ではワクチン、ワクチン、ワクチンとテレビニュースは日本での遅ればせながらのワクチン供給の話題が賑やか。輸送が何うだの専用の冷凍庫が間に合ふの間に合はいの、アレルギー反応起きた場合の何とかだの……ワクチン運ぶのは安全にとかアレルギー反応の対象など「できて当然」なことで、それができなかつた時に初めてニュースになると思ふのだが日本では、その前から当然さうあるべきことを中学生でもわかることをいちいち話題にする。それを知つてゐれば何かあつた時にパニックにならないといふ「転ばぬ先の杖」のやうで実際にそのアクシデント起きればまた騒ぐのだから。本当に一億総白痴(大谷壮一©)なのではないのかしらん。

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サッポロの“LAGAR”麦酒飲みたくなりコンビニに寄つたら、このビールだけ売り切れ。誤植は誤植なので初回生産分売り切つたらお終ひなのだらうが。これでスペルミス直しても売れ行きには限度があるだらう。

中共でモスリム弾圧はウイグル自治区のみにあらず……といふ記事あり。紙面での見出しは“Uighurs not the only target”で海南島の回教族への取材。中国で最も南にある海南島は古来、海のルートで西域と中国を結ぶ拠点で、この島にはモスリムが今でも10万人ほど居住してゐるのだといふ。この海南回族は“The Utsuls”と呼ばれ中国では「回辉人」。彼らの居住区で「アラーは偉大なり」といつた回教のスローガンは看板に布が掛けられハラルフードのメニューがなくなりイスラム系の学校2校が廃校になつたといふ。民族同化。それも漢民族社会への同化。アタシは中共を初めて旅した時に回教寺院があちこちにあり回教族が生活してゐて漢族にも回教徒がゐてハラルの食堂も少なからず中共の民族尊重は大したものだと思つてゐたが近年その弾圧が凄まじい。海南回族は子女をアラビアに遣り教育を受けさせる伝統もあり、それに対して中央政府が「テロの温床」と警戒ありと、この記事。

池波正太郎『又五郎の春秋』


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正月初三の車公廟は「安心」アプリ活用で防疫もできてわずか15分待ちで参拝できたと大公報。社会は暴徒やコロナに抗ひつゝ安定したものになつてゐる、ってか。香港警察は民主派弾圧に対する欧米の対港管制のなか対テロ作戦部隊が標準装備とするドイツ製のMP5短機関銃調達が難しく同規格のチェコ製の銃調達と蘋果日報

青春忘れもの/食卓の情景/男のリズム/又五郎の春秋/ドンレミイの雨 池波正太郎の銀座日記【全】 (完本 池波正太郎大成 第29巻)

池波正太郎『又五郎の春秋』 を講談社完本『池波正太郎大成』第29巻)で読了。先代の又五郎といふ役者に惚れた池波先生がこんなルポルタージュ書きの名手だつたとは。又五郎は父方の祖母が歌六Ⅲの妹のため父の初代又五郎は初代吉右衛門と従兄弟。父が若く亡くなり吉右衛門又五郎を実子のやうに可愛がり育て、又五郎は実子を歌舞伎の役者にしなかつたかはりに三宅坂の養成所で多くの役者を育て、池波先生はその稽古場で又五郎の指導に熱い視線を送つた。その稽古場に又五郎が山田先生を連れてきてベルちゃんも真剣に若い役者の卵の稽古を眺めてゐたといふ。東宝歌舞伎のことなど貴重な記録。又五郎幸四郎Ⅷが倅二人(染五郎吉右衛門)を連れて東宝に移籍したから自分もそれに従つた形になつたが実際には自分の意思でずつと歌舞伎の世界に育ち他の世界を一切知らなかつたので松竹の庇護から離れて自分の目で外の世界を知り経験を積みたかつたと。

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又五郎の春秋』は読み終へても、この池波先生集大成には「銀座日記」もあつて、これは昭和50年代から『銀座百点』誌に連載されてゐたもので当時摘み読みはしてゐたが今となつては貴重な記録。この連載日記を読んだ川口松太郎が「食べすぎ、飲みすぎに見すぎ」と呆れたほど池波正太郎は連日のやうに映画の試写を見て銀座界隈を食べて飲んで歩いてゐる。とにかく買ひ物も好き。『銀座百点』に連載なので銀座に関しては特定の名店贔屓にならぬやうにS堂とかR亭とかイニシャルにしてゐるが銀座だから大方の読者にはそれがどこかなんてすぐにわかる。途中それもやめて実名になつたり。高校生のころにこれを読んで影響を受けたのかしら今になつて自分の銀座がどれだけ池波先生の影響を受けてゐることか……といつても池波の銀座はアタシの祖母の銀座とかなりダブるところもあつて、それも嬉しい。池波先生といへば山の上ホテルで天ぷらは「近藤」だが、この日記を読んで池波先生のヒルトップ初泊まりが昭和58年の夏なのにはちょっと驚いた。それから最愛の宿となるのだが。アタシが香港から戻り山上ホテルに宿泊のときは601号室をとることができた。月本裕さん夫妻と「近藤」での天ぷら。バーで飲んでゐたら月本さんが「あっ!」と立ち上がりロビーに走り普段運動など全然してゐない月本さんの小走りなんて見たのはこの時が最初で最後で月本さんは逝つてしまつたがロビーに走つたのはそこに伊集院静氏がゐたからだつた。閑話休題久々に新国劇と関はることとなり当時84歳の島田正吾の舞台。幸四郎Ⅷが初演の「鬼平」は高麗屋から吉右衛門Ⅱとなり播磨屋に対する信頼。その「鬼平」に又五郎北林谷栄が出演したことへの喜び。この銀座日記の最後は平成2年4月号で「鬼平」が播磨屋歌舞伎座で演じられたことを書いて、この号が最後。その年の5月に池波先生逝去。今日は午前中に降り出した雨が強くるやうで、この読書に耽つてゐたらそんな時にかぎつて陋宅の水道が断水。小さな集合住宅で管理事務所があるわけでもなく市役所の水道課に電話すると断水の工事予定も事故もないとのことでマンション名告げると先ほど同じマンションの方から電話があつたといふのでマンション管理会社に電話すると上水道のタンクでモーター機械で漏電だかの故障だといふ。地震に起因する可能性大。市役所水道課に報告しておく。台所、風呂からトイレまで使へず。緊急用の貯水もしてゐない。香港では上水道とトイレ流水が別で後者は海水を簡単に濾過しただけの水だつたが、それでトイレは使へて、これが断水しても上水道で流せたので断水に対する警戒心がなかつた。一昨晩の地震で緊急用の備蓄が必要と思つてはゐたが。煮炊きもできず大雨のなか家人と南町3のレストランKにゆく。
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品数も多く味もなかなかで良心的な価格だからそれなりに繁盛してゐるが今どき喫煙可なのが何とも。昼休みで一服かねて昼飯に来る客少なからず。煙たいからマスクするとマスクがタバコ臭くなり、これは更にひどい。広東麺。広東にない広東麺が五目あんかけラーメンと何が違ふのか。同じといふ説もあるが広東麺は広東にはないが甘いあんかけの味付けが確かに広東料理風といへば、そんな気がしないでもなし。天津丼も天津にはない料理だが、それをいへば香港で杭州炒飯も香港独特の美味しさ。香港の西洋料理屋の瑞士鶏翼(Swiss Wing)もそんな手羽先料理はスイスにはない。

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雨がどんどん強くなるなか傾城水戸で珈琲一杯飲んで時間をつぶしK歯科に治療へ。雨靴履いてはゐたが横殴りの風も強くジーンズがびしょ濡れ。66.5㎜も降つたさう。治療の間、窓から見える雨空は徐々に明るくなり治療終はると待合室の窓から青空が。北の空にきれいな虹がかかつたんですよ、と診察待ちの伯母さまが笑顔。水戸は1時間の降雨量が30㎜で日立では49㎜で2月の降雨量としては観測史上最大だつた由。

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陋宅の上水道タンクの工事は日暮れ頃に終はつて無事に水が供給され長野T氏から昨年末にいたゞいた鶴屋吉信の羊羹@奈良国立博頬張りお茶を一服。